米中ハイテク覇権戦争
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ファーウェイへの禁輸措置がサプライチェーンに与えた影響
米中ハイテク覇権戦争(2)エンティティリストとその影響
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
エンティティリストに記載という、ファーウェイに対するアメリカの対応は、中国政府側の態度の硬化を招き、より大規模な貿易紛争へと発展していった。ファーウェイは世界のサプライチェーンに大きく貢献していたので、アメリカ政府の対応が世界の経済ネットワークに与えた影響は甚大である。一方でファーウェイは、こうしたアメリカの戦略によるリスクを予見して戦略を立てていたようにも見受けられると島田晴雄氏は指摘する。(全9話中第2話)
時間:9分43秒
収録日:2019年11月20日
追加日:2020年1月18日
カテゴリー:
≪全文≫

●米中が互いに主導権を握ろうとした結果対立は激化していった


 実はこうした措置の前段階として、以下のような出来事がありました。ファーウェイの孟晩舟副会長が逮捕された後、ドナルド・トランプ大統領は中国に対して、2月末、つまり3月1日まで交渉を延長すると言っていました。トランプ大統領は2月24日に、3月1日以降まで延長して良いという提案をしました。それに伴って、事務方の交渉が進んでいました。これに関して、大変順調に進んでいるとツイッターに書くほど、機嫌が良かったのです。

 ところが、5月10日に突然、中国は9割完成していた合意文書案の7章分を大幅に修正して、一方的に送付してきました。アメリカ政府は対抗措置として、これまでかけていた10パーセントで2000億ドル規模の関税を、25パーセントに引き上げると言明して、直ちに実行しました。

 この文章の大幅な変更には、以下のような顛末があったといわれています。習近平主席の中学時代の同級生で抜群の秀才だった劉鶴(Liu He)副首相が、交渉代表をしています。この人がアメリカの圧力に妥協して、合意した文書がありましたが、習近平主席はこれを見て、こんなものは受け入れられないといって、大幅に加筆修正してしまったのです。これにアメリカ側が大反発をして、突然関税を10パーセントから25パーセントに引き上げて険悪な状況になりました。中国ウォッチャーとして日本で大活躍している朱建栄教授は、この状況を「米中の交渉過程のどんでん返し」と呼んでいます。

 このどんでん返しの直後に、劉鶴副首相がアメリカを訪問して協議しました。しかし、想像されていたように、物別れに終わりました。劉鶴氏はワシントンDCを離れる直前に、記者団に対して、「われわれは3つの原則に関しては絶対譲らない」といいました。その原則とは、1つ目は追加関税の撤廃です。2つ目は貿易購入数量に関して、アメリカが時々恣意的に変えることがあるそうですが、それは認めないということ。最後に、お互いの尊厳を認めて、均衡性のある対等の文書に改善すべき、と主張しました。

 アメリカ側はもともとそうしたことを守る気はないので、こうしたことを劉鶴氏が指摘したということは、中国は最初から交渉に結果を期待していないと考えられます。そして、自分たちのペースに持っていこうという作戦があったのではないかと観測されています。

 この「5...

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