米中ハイテク覇権戦争
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
スノーデン氏によって明らかになったアメリカ諜報機関の真相
米中ハイテク覇権戦争(7)「諜報戦略」と「強国化戦略」
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
ここまで中国の諜報、情報収集の脅威に関するアメリカの警戒に関して議論してきたが、アメリカの諜報活動も決して明るみにできるものではないことが内部告発によって示された。自国の諜報活動を制限したくないアメリカは、直接的にファーウェイをスパイ企業として取り締まることはできない。一方、中国は屈辱の過去に裏打ちされた戦略を取り、今後もさらなる経済的発展を目指していくことを、島田晴雄氏が丁寧に解説する。(全9話中第7話)
時間:10分23秒
収録日:2019年11月20日
追加日:2020年2月22日
カテゴリー:
≪全文≫

●スノーデン氏が明らかにしたアメリカ諜報機関の闇


 一方、アメリカに関しては、ご存じの通り、エドワード・スノーデンという人がいます。彼は、アメリカ合衆国の安全保障局(NSA)、それから中央情報局(CIA)の元職員です。彼によるNSAによる国際的監視網(PRISM)の実在の告発は、当時、大きなニュースになりました。

 スノーデン氏はイギリスのガーディアン紙に、NSAの極秘ツールであるBoundless Informantの画面を示しながら、クラッパー国家情報長官が議会公聴会で否定したその3月に、合衆国内で月間30億件のインターネットと電話回線の傍受が行われていたことを明らかにしました。標的になった情報は、通話者の氏名、住所、通話内容のみならず、メタデータも収集していました。通話者双方の電話番号、端末の個体番号、カード番号、時刻、基地局情報から割り出した位置情報も収集していたのです。

 インターネット傍受はアプリケーションプログラミングインターフェースのような形のバックドアによるもので、コードネームをPRISMと名づけられた検閲システムによって行われていると彼は話しました。標的情報は電子メール、チャット、電話、ビデオ、写真、ファイル情報、ビデオ会議、登録情報などです。

 通信傍受については、マイクロソフト、ヤフー、グーグル、ユーチューブ、スカイプ、アップルなどの協力が明らかになりました。フェイスブックには、2012年の後半6カ月で、NSAから1万8000から1万9000個のユーザーアカウントについて情報提供依頼があったと報告されています。

 スノーデン氏によると、NSAは世界中で6.1万件のハッキングを行っています。そのうち数百回以上が中国大陸と香港の政治、ビジネス、学術界などを目標としていました。中国へのハッキングは2009年以降活発化しました。NSAには外国との共同作戦のための専門委員会も設置されていることを暴露しました。ガーディアン紙はスノーデン氏の極秘文書によって、NSAが38カ国の大使館も盗聴していたことをスクープしました。日本、フランス、イタリア、ギリシャ、メキシコ、インド、韓国、トルコなどの同盟国も盗聴されていました。

 ワシントンDCのEU代表部への情報工作のケースでは、暗号機能付きのファックス内に盗聴器と特殊アンテナが仕組まれて、90人の職員のPC内のデータ全てを覗き見る手法で実施されていました。フランスのオランド大...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
「中華民族の偉大な復興」と中国外交(1)外交姿勢・前編
四字熟語で見る中国外交の変化
小原雅博
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子