米中対立の行方をどう読むか
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いまの米中関係は長期化するほどアメリカが不利になる
米中対立の行方をどう読むか(5)政策を操る中国の工作
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
中国は敵対する観念的思想の持ち主こそ操作の対象と見なす傾向があり、かつてはニクソン大統領がそうだった。今日のアメリカ共和党も危険である。アメリカは不利な条件を三つ持っており、それゆえ長期化させるべきではなく、どこかで妥協が必要だろう。(全7話中第5話)
時間:10分58秒
収録日:2018年12月25日
追加日:2019年6月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●ニクソンは中国の情報操作に遭っていた


中西 いずれにしても個別の問題は山ほどありますが、それを省略して一言でいえば、近年のアメリカ、特にニクソン訪中以来のアメリカが米中関係の中で、いかに中国の情報工作によってその政策決定が操作されてきたかということは、ニクソン訪中の決定そのものがそもそも中国の工作によって実現したということを含めて、最近、多くのインテリジェンス専門家によって研究されています。特にフランスでは学者がたくさんいますので、中国インテリジェンス研究がかなり進んでいるのです。

 彼らによれば、フランス外務省系の特殊なソースによると、1950年代にジョセフ・マッカーシーと一緒になって、赤狩りで名を売った政治家であるリチャード・ニクソンは、その時代に中国の、一説にはハニートラップに遭って、それ以来中国が操作するアメリカの右派政治家になりました。どこの国にも右派政治家はだいたい共産主義国から見ると、操作対象にしやすい。しなくてはならない危険な要因の一つですから、浸透されます。
 そういう意味でいえば、今のアメリカの共和党ほど危ない集団はないでしょう。共和党ほど共産主義のそういう工作にかかりやすい人たちはいないと思います。


●民主主義国の観念化した保守派政党は絶好の工作対象


中西 今のアメリカの共和党の、ティーパーティ、あるいは宗教原理主義、あるいはレーガン派とかいった人たちは、非常にイデオロギー化した政治家が多いのです。共産主義の伝統を持ったインテリジェンス・サービスのアプローチの基本は、「敵性浸透」という、一番自分たちに敵対する勢力になりそうな人たちをオルグすることです。特に、イデオロギーで同じ思想を共有すると装って、接近します。

 昔からそうですよね。コミンテルンなんて、クー・クラックス・クラン(KKK)の中にものすごく浸透したわけです。戦前の日本、先ほどの統制派・皇道派の日本陸軍の派閥闘争にしてもそうなのです。あれは一番過激になりそうなところに浸透していっているのです。それで彼らを操って、自国の対外戦略に都合のいい方向を取らせるわけです。

 日本は戦前からこれをずっとやられっぱなしの歴史があるのですが、今のアメリカの共和党は、非常に観念化した保守主義です。保守主義といっても、ヨーロッパの保守主義とは全然違います。そういう意味で、柔軟性を欠いて...

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