米中対立の行方をどう読むか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
アメリカは中国よりもインテリジェンスの力が劣る
米中対立の行方をどう読むか(4)情報戦争の勝者は中国?
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
トランプ政権によって始まった中国封じ込め戦略が、アメリカにとって不利になる条件はもう一つある。中国よりもインテリジェンスの力が劣ることだ。かつてアメリカは情報戦を得意としたが、この10年で中国とのパワーバランスは変わりつつあるという。(全7話中第4話)
時間:8分35秒
収録日:2018年12月25日
追加日:2019年5月31日
カテゴリー:
≪全文≫

●実は、米中のインテリジェンスの力は、中国が優位にある


中西 (トランプ政権によって始まった中国封じ込め戦略が、アメリカにとって不利になる条件の)三つ目は、インテリジェンスの力の格差です。米中のインテリジェンス格差は歴然としていて、中国が優位です。とりわけ技術的な情報収集手段は確かにアメリカも優れています。ファーウェイをめぐる問題でも、スパイチップがどうのこうのとか、スマートフォンの部品の中に不必要なものがあるとか、いろいろ議論していますけれども、その議論をする前にはっきりしているのは、こういう話を10年以上前から聞いていたということです。

 ファーウェイなどにはスパイチップが入っていると、アメリカの人は日本にいてもそればっかり言っているわけです。ロシア人も言っていました。だから本当にそうだったのかもしれませんが、いずれにしてもはっきりいえるのは、21世紀の世界は情報戦争によって大国の戦いの勝敗が決まるということです。


●21世紀は情報戦争の時代である


中西 20世紀の前半は実際の戦争の時代です。戦場で戦車や飛行機が飛び交って、そのドンパチで勝敗を決める実戦の時代でした。20世紀の後半は抑止戦争の時代だったわけです。抑止戦に敗れたソ連は自壊崩壊したわけです。

 21世紀はインテリジェンス、広い意味での情報戦争の時代です。ですから、ハイブリッド・ウォー、政治戦争、フェイクニュースといった言葉が飛び交っていますけれども、そういう戦いの時代でも、決定的に大国の優劣を決めるのはヒューマン・インテリジェンス、ヒューミントだと私は思います。


●通信傍受の情報戦で、アメリカは圧倒的に優位だった


中西 相手の陣営の奥深くに人間のスパイが入り込んで、最高指導部の決定を左右する力を持ったインテリジェンスパワーは、互角の超大国同士の対立になればなるほど力を発揮します。

 そこまでいわなくても、近年のアメリカのインテリジェンスの力は、本当に中国に対して心もとない状態が劇的に続いています。

 もちろんアメリカは技術的に第二次大戦からずっと続いている電子情報の優位があります。一つはエシュロン(通信傍受システム)ですが、2014年に、例のエドワード・スノーデン事件で有名になったPRISM(プリズム)作戦などもそうです。「PRISM」という世界中の電話やファックス、インターネット通信を全部アメ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(2)プロジェクトの複雑性とマネジメント
コスパが鍵!? 顧客満足につながる品質マネジメントとは
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ