国際情勢における日本の安全保障
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「3つのバランス構造」から世界の行方を読み抜く
国際情勢における日本の安全保障(1)米中露対立
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
日本の安全保障問題は、米中露間で成立している国際情勢を加味して理解する必要がある。世界の大きなバランス構造はアメリカと中国の両者がロシアとどのような関係にあるかによって把握できる。この構造を考えれば、国際情勢の中で日本がいかに生き残るべきかも見えてくる。(全4話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:13分07秒
収録日:2019年6月28日
追加日:2019年9月8日
カテゴリー:
≪全文≫

●朝鮮半島の問題は、中露関係と関連している


―― 安全保障の話で、今、米中の話をいただきましたけれども、もう一方の問題として、朝鮮半島ですね、アメリカと中国の関係というのは、ある意味ではさっき先生がおっしゃったように、大国同士の関係で、もう戦争ができない関係性になるという講義でございましたが、逆に何かが起きるとすると、たとえば朝鮮半島のような場所であったり、台湾海峡かもしれない。日本としては、そういう地域的な安全保障の危機にも備えなければいけない。そういう意味で言うと、今、非常に韓国が、どう動くのかも非常に危ないように見受けられるところもありますし、北朝鮮も今、米朝の首脳会談も重ねてはいますが、最終的にどっちに向かうのかが、なかなかよく分からない。そこにロシアの思惑なども絡んでくる。こういう状況で、長期的というより、短期的ないし中期的に見た場合に、朝鮮半島は今後どうなっていくのか。ある意味では、朝鮮半島とくに韓国がすでに中国のサイドなり、北朝鮮のサイドで動いてしまって、今の38度線が、対馬海峡まで来るのではないかという危機分析はずっと中西先生がしてこられましたけれども、ますますそれに近いような、先生の予言通りのような状況になりつつあります。ここはこれから、どのように見ていけば良いでしょうか。

中西 日本としては決して嬉しい予言ではありませんが、的中しました。私が「対馬海峡が38度線になる日」という論文を書いたのは、2003年の『VOICE』という月刊雑誌の3月号です。もう十数年前の話なのですが、これによって、いまだに大きな構図を理解することができます。

 どういうことかと言うと、朝鮮半島はやはり大陸なのだということです。とくに2000年代に入ると、ロシアはプーチン体制で、中国は江沢民時代に経済の基礎固めが成功し、両方ともが大陸国家として非常に接近し始めました。今では70年代の中ソ対立以来、かつてないほどの中露の大接近が起こっています。この傾向はすでに2000年代の初めから見えていました。


●アメリカは中露関係を考慮しなければならない


中西 最近になり、日本の識者の中には米中露関係について、次のような議論をする人がいます。「今、米中対立が激しくなっているが、そこにおいてアメリカにとって中国は、米ソ冷戦の際のソ連と同じような位置づけになっているのだ。だからこれは米中新冷戦と...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
ロボットの「カンブリア爆発」時代へ電動化がもたらすもの
岡本浩

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
徳と仏教の人生論(5)陰陽と東洋思想を知ることの意味
『孟子』に学ぶ、リーダーが過酷な境遇に追い込まれる意味
田口佳史
編集部ラジオ2025(26)ソニー流!多角化経営と人材論
ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
組織心理学~「不満」を生かす(1)不満・相談・予防
職場への不満は6割以上~ポイントは隠蔽、心理的安全性…
山浦一保
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(6)評価制度設計と「夢」の重要性
なぜ二本立ての評価制度が必要か…多種多様な人材の評価法
水野道訓
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(2)国家戦略目標の転換
経済発展から「国家の安全」へ…転換された国家戦略目標
垂秀夫