国際情勢における日本の安全保障
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アメリカによる金正恩政権転覆工作の可能性を注視せよ
国際情勢における日本の安全保障(2)北朝鮮問題解決の鍵
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
日米安全保障条約は、現在もなお日本の安全保障の出発点とするべき支柱である。朝鮮半島の情勢が不安定になると、日本は非常に予測困難なリスクに対処しなければならない。そこで唯一の解決策となるのは、アメリカによる北朝鮮に対する転覆工作である。(全4話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:9分12秒
収録日:2019年6月28日
追加日:2019年9月8日
カテゴリー:
≪全文≫

●北朝鮮問題は「北朝鮮への軍事攻撃」では解決しない


―― 次に、地域的な危機としての朝鮮半島についてお伺いします。とくに韓国の場合は、政権が代わるとガラリと変わりますし、非常に動きが読みづらい国です。このリスクを日本としてどう考えるべきでしょうか。

中西 朝鮮半島についてはっきりしているのは、北朝鮮の問題の解決策は、ある意味で1つしかないということです。

 2017年には、核実験危機がありました。日本国内では、これによって米軍による北朝鮮攻撃がなされ、米朝戦争が開始されるのではないかという雰囲気が数カ月続きました。東京の地下鉄が止まるという騒ぎにもなりました。確かに米朝戦争になると、北朝鮮という国がなくなるので、理論上の解決にはなります。しかし、そんなことはできるはずがありません。アメリカが北朝鮮のどこかの基地を攻撃したら、やはりソウル近郊の38度線以南の人口密集地帯で、少なく見ても数十万から100万の死者が出ます。そんな戦争に韓国がゴーサインを出すはずがありません。韓国が身体を張って反対するような戦争に、アメリカが訴えられるはずがありませんね。

 ですから、これは机上の議論か、ある意味の戦略的コミュニケーション、つまり脅し戦術にすぎません。最初からこれはエンプティ・スレッドで、かなり底が見えていました。


●「話し合いによる解決」、先に進めることが困難である


中西 それでは解決策は他にあるのでしょうか。2つ目の解決策として考えられるのは、トランプ氏が去年(2018年)採った解決策です。つまり北朝鮮が核兵器を持ったままでも、話し合いをするというものです。首脳会談まで2回も行ってしまいました。これには選挙戦略もあり、話がぶれてしまい、2回目のハノイでは大変な行き詰まりになってしまった。

 それでは、ここから先はどのように進んでいくのでしょうか。ハノイでトランプ氏が言ったのは、いわゆるリビア方式です。すべての大量破壊兵器を差し出して、廃棄せよというものです。カダフィの行く末を見ている金正恩が、これに応ずるはずがありません。

 つまりこれは、ビジネスの世界にある同時履行問題です。同時履行とは、不動産を買うときに、現金を持って銀行へ行きます。片方は登記簿を持ってきて、その場で同時履行をして、お互いにハンコを押します。その際に、どちらが先に譲歩を提供するかという話です。両...

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