国際情勢における日本の安全保障
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
アメリカによる金正恩政権転覆工作の可能性を注視せよ
国際情勢における日本の安全保障(2)北朝鮮問題解決の鍵
政治と経済
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
日米安全保障条約は、現在もなお日本の安全保障の出発点とするべき支柱である。朝鮮半島の情勢が不安定になると、日本は非常に予測困難なリスクに対処しなければならない。そこで唯一の解決策となるのは、アメリカによる北朝鮮に対する転覆工作である。(全4話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:9分12秒
収録日:2019年6月28日
追加日:2019年9月8日
カテゴリー:
≪全文≫

●北朝鮮問題は「北朝鮮への軍事攻撃」では解決しない


―― 次に、地域的な危機としての朝鮮半島についてお伺いします。とくに韓国の場合は、政権が代わるとガラリと変わりますし、非常に動きが読みづらい国です。このリスクを日本としてどう考えるべきでしょうか。

中西 朝鮮半島についてはっきりしているのは、北朝鮮の問題の解決策は、ある意味で1つしかないということです。

 2017年には、核実験危機がありました。日本国内では、これによって米軍による北朝鮮攻撃がなされ、米朝戦争が開始されるのではないかという雰囲気が数カ月続きました。東京の地下鉄が止まるという騒ぎにもなりました。確かに米朝戦争になると、北朝鮮という国がなくなるので、理論上の解決にはなります。しかし、そんなことはできるはずがありません。アメリカが北朝鮮のどこかの基地を攻撃したら、やはりソウル近郊の38度線以南の人口密集地帯で、少なく見ても数十万から100万の死者が出ます。そんな戦争に韓国がゴーサインを出すはずがありません。韓国が身体を張って反対するような戦争に、アメリカが訴えられるはずがありませんね。

 ですから、これは机上の議論か、ある意味の戦略的コミュニケーション、つまり脅し戦術にすぎません。最初からこれはエンプティ・スレッドで、かなり底が見えていました。


●「話し合いによる解決」、先に進めることが困難である


中西 それでは解決策は他にあるのでしょうか。2つ目の解決策として考えられるのは、トランプ氏が去年(2018年)採った解決策です。つまり北朝鮮が核兵器を持ったままでも、話し合いをするというものです。首脳会談まで2回も行ってしまいました。これには選挙戦略もあり、話がぶれてしまい、2回目のハノイでは大変な行き詰まりになってしまった。

 それでは、ここから先はどのように進んでいくのでしょうか。ハノイでトランプ氏が言ったのは、いわゆるリビア方式です。すべての大量破壊兵器を差し出して、廃棄せよというものです。カダフィの行く末を見ている金正恩が、これに応ずるはずがありません。

 つまりこれは、ビジネスの世界にある同時履行問題です。同時履行とは、不動産を買うときに、現金を持って銀行へ行きます。片方は登記簿を持ってきて、その場で同時履行をして、お互いにハンコを押します。その際に、どちらが先に譲歩を提供するかという話です。両...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
松下幸之助の人づくり≪3≫理想の政治(1)国家に経営理念があれば、もっと日本は発展する
無限の可能性に挑め…国家経営を創造し、新時代の憲法を!
松下幸之助
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?
学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く
テンミニッツ・アカデミー編集部
未来を知るための宇宙開発の歴史(13)発展する宇宙空間利用と進化する技術
最近の話題は宇宙生命学…生命の起源に迫る可能性
川口淳一郎
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
クーデターの条件~台湾を事例に考える(6)クーデターは「ラストリゾート」か
中国でクーデターは起こるのか?その可能性と時期を問う
上杉勇司
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(5)現代社会の問題点と親性脳のスイッチ
親も子もみんな幸せになる方法…鍵は親性脳のスイッチ
長谷川眞理子