北朝鮮の脅威と日本の国益
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
世界が多極化していく中、日本の国益をどう守っていくか
北朝鮮の脅威と日本の国益(9)多極化の時代へ
小原雅博(東京大学名誉教授)
日本の国益を考えた際、短期的にはアメリカの北朝鮮に対する出方が、長期的には、その結果としての在韓米軍の撤退が、日本の安全保障にとって大問題になる可能性がある。いずれにせよ今後は多極化の時代に入っていく中で、より戦略的な観点に立つ必要があるだろう。(全9話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分37秒
収録日:2019年8月21日
追加日:2019年11月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●短期的にはアメリカの出方次第で日本の対応が決まる


―― そういう中で最後に、日本はこれからどう対応すべきかというところをお聞きしたいと思うんですけれども、短期的な部分と長期的な部分と、2つあるかと思います。短期的な部分でいうと、さきほど先生が重要なご指摘をされて、これから厳しい局面に行くということで、そこに向けてどう動くべきかというところが一つあろうかと思います。

 長期的な部分でいうと、今日の講義で先生がお話しくださったように、まさにデカップリングの話です。アメリカからすれば、自分の国への核攻撃の手段さえ取ればいいということになりますが、日本としてはそれでは「えっ、いいんですか」となるでしょう。逆に、もう1つの危機である先制攻撃みたいなことをアメリカが仕掛ける可能性もあります。こうしたアメリカベースの交渉で行った場合に、日本としては本当に国益が守れるのかどうかという問題があります。現状のままで良いのかということです。

 先生は『日本の国益』(講談社現代新書)の中で、非常に印象的なことをおっしゃっています。つまり、アメリカが日本にとって脅威が消えないような条件で北朝鮮と交渉を妥結した場合において、日本としては日米同盟による抑止力でこのまま良しとするのかどうか、判断が迫られる可能性もあるんじゃないか、というご指摘です。その短期的な部分でどう対応するか。あるいは長期的な構えとして日本はどう戦略を組んでいくべきか、ということについては、どのようにお考えでしょうか。

小原 先ほどの流れからいうと、短期的には金正恩さんはアメリカしか見ていませんから、ドナルド・トランプさんがどう出るかということだと思うんですよね。この間、トランプさんも危機を察して板門店に駆けつけて会合をしました。中身はほとんどなかったんだと思うんですけど、ああいうパフォーマンスをすることによって、現状は悪くないんだということを彼は言いました。

―― 友好的なムードを出していましたね。

小原 彼は国民にも、現状は悪くないんだと言いました。一度は戦争になるかもしれなかったんです。半分、マッチポンプですよね。自分で火をつけておいて、自分で消火する。彼がアメリカで今言われているのはね、要するに、いわゆる火付け屋だというものです。同時にね、消防士だということも言われているんです。

―― まさにマッチポ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ