北朝鮮の脅威と日本の国益
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本の国益にとって重要な北朝鮮とイランには違う問題がある
北朝鮮の脅威と日本の国益(6)北朝鮮とイラン
政治と経済
小原雅博(東京大学名誉教授)
現在はイランにおいても核開発問題が出ている。さらにはイランにはテロ勢力も存在し、核兵器にとどまらない安全保障問題を抱えている。今後の国際社会の平和に大きな影響を及ぼさないためにも、北朝鮮との非核化交渉は絶対に成功させなければならない。(全9話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:9分46秒
収録日:2019年8月21日
追加日:2019年10月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●イランの情勢は経済的な繁栄に大きく関わる


―― ここで話題を転じて、もう少し視野を広げてみます。今、核開発問題が出ているのがイランですね。日本の立場からすると、安全保障という面ではもちろん、北朝鮮の核というのは死活的な問題ですけれども、イランも石油の輸入等々を考えれば、経済的には極めて死活的な場所です。両方の違いで言うと、北朝鮮は一応核保有をしているという国であり、イランの場合は今まさに作ろうとしているという国ですね。

 もう一方の要素としてあるのが、アメリカからすると二正面作戦といいますか、中東方面と極東で、両方こういう問題を抱えた時に、優先順位をどうするのかなど、色々な問題があります。これを日本としてどう考えるべきか。これは、かなり難しい問題だと思うのです。

小原 シリーズ冒頭で、日本は国家安全保障戦略の中で、3つの国益を掲げたと言いました。1番目が国家・国民の生存、安全です。そして、2番目の国益というのが国家・国民の繁栄なのですね。つまり、経済的な繁栄というものをどう維持していくかというのは非常に重要です。この国益と深く関わるのがまさに中東なのです。

 日本は石油の多くを中東から輸入しています。今、問題になっているホルムズ海峡というのは、そういう意味で非常に重要なシーレーンに当たっているわけです。ここで何かが起こりタンカーが通れなくなってしまうと、大変なことになるのです。そこでアメリカは、ホルムズ海峡の海上警備に「有志連合」を結成することも企てています。

 イランについては、実は北朝鮮と違ってこうした問題があるのですね。北朝鮮の問題は、第1の国益である国家・国民の生存と安全だけです。一方、イランは日本から極めて遠く、多くの日本の国民からすれば、日本と関係のない話じゃないかと思われるかもしれません。しかし今、ご指摘された通り、石油のことを考えると、非常に重大な日本の国益に関わる問題なのですね。


●アメリカのダブルスタンダート


小原 今言われたように、実はイランはまだ核を持っていません。事実上、北朝鮮は持ってしまいました。だけど現状では、NPT(核兵器不拡散条約:Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons)という核不拡散体制があります。こういった国際的な枠組みを守っていく上で、アメリカを含め、国際社会は絶対に、今持っている核を公式に持って...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮