中国の歴史認識・歴史の記憶と日中関係
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
欧米列強に蹂躙された屈辱を晴らす―中華の偉大なる復興
中国の歴史認識・歴史の記憶と日中関係(1)中国共産党のレジティマシー
習近平と中国共産党が日本批判を強めているが、それは単に習近平が反日だからではなく、根本的な理由は、中国の「歴史認識」と「歴史の記憶」、そして中国共産党のスローガンにあるという。それは一体どういうことか。石川好氏が語る。(全4話中第1話目)
時間:10分59秒
収録日:2014年7月9日
追加日:2014年8月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●習近平が、相当激しい日本批判を行っている


 これから中国の今について、何回かに分けて話したいと思います。たまたまこの前の7月7日、盧溝橋事件が起こった日に、北京の郊外・蘆溝橋の中国人民抗日戦争記念館で、習近平国家主席が相当激しい日本批判を行いました。これは異例のことです。この記念館の開館20周年、25周年のお祝いでは、国家主席および政治局常務委員が表敬訪問する程度でしたが、先日初めて国家主席が、一発の銃声で日中を全面戦争にした盧溝橋事件について、それが起こった場所で本格的に日本を批判したのです。

 2014年7月7日は、盧溝橋事件が起こってから77回目の記念日になります。7、7、7、7と非常に数字の並びが良いということもあって、そのようなことをしたのだと思います。

 それから、9月18日は満州事変が始まった日で、中国の歴史では「9・18」と言いますが、この日もおそらく瀋陽の九・一八歴史博物館に国家主席が赴き、同様の演説をするのではないかと思われています。

 また、12月13日はいわゆる南京大虐殺が始まった日ですが、今年から中国では、満州事変記念日の9月18日と、南京大虐殺記念日の12月13日を国の指定する祝日にすることが決まっています。日中戦争に関わる日を休日にして、大々的な式典を行うわけですから、当然12月13日にも、おそらく習近平は日本に向けて相当厳しいスピーチをするでしょう。しかも今の段階では、この式典に世界中の要人を国賓として招待するだろうと言われています。

 一体なぜ今、中国は日中戦争の件で、国家元首が先頭に立って大々的かつ急速にスピーチするようになったのでしょう。彼はドイツやロシアなどの外国でも、日中戦争で約3500万人の中国人が戦死したことなどをアピールしています。

 一般的に日本では、習近平が際立った反日政治家だから、日本に対して厳しいことを言っているのだと考えられていますが、それは必ずしも正しくないと思います。ではこれから、中国の反日姿勢の原理、原則、根本にある理由が何かをお話ししたいと思います。

●何度も外敵に支配されてきた中国の歴史の記憶


 中国との歴史問題を考える場合、必ず「歴史認識」という言葉が出てきます。中国が言う歴史認識という言葉の根本には、「15年に及んだ日中戦争は、中国にとっては明らかに日本に侵略された戦...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題
5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現
小宮山宏
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(2)戦争省とチャーリー・カーク暗殺事件
チャーリー・カーク暗殺事件とは?その真相と政権への影響
東秀敏
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(6)評価制度設計と「夢」の重要性
なぜ二本立ての評価制度が必要か…多種多様な人材の評価法
水野道訓
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
組織心理学~「不満」を生かす(1)不満・相談・予防
職場への不満は6割以上~ポイントは隠蔽、心理的安全性…
山浦一保