中国の歴史認識・歴史の記憶と日中関係
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
30年ぶり、戦後2度目の中国からの逆風が日本を襲う!
中国の歴史認識・歴史の記憶と日中関係(3)繰り返し起こる反日運動の背景
政治と経済
石川好(作家)
現在、中国全土に、100以上の抗日記念館が存在する。それらは1980年代の数年の間に矢継ぎ早につくられていった。第一次世界大戦から100年、繰り返し起こる反日運動の背景にあるものとは。(全4話中第3話目)
時間:7分31秒
収録日:2014年7月9日
追加日:2014年8月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●列強支配に激怒する中国。反日「五四運動」の爆発


 さて、今回のシリーズでは、前回に続いて、対支(対華)21カ条要求を出して100年、そして第2次世界大戦が始まって100年という節目のときに何が起こるかという話をしています。

 前回申し上げたように、対支21カ条要求については、さすがにこれはあまりに無理難題だということがあり、アメリカの介入もあって、何カ条かは調整されながら、それにしても批准はされるわけです。中国はもう抵抗する気力もない。一方では、その仲裁をするべき他国が第1次世界大戦の真っ最中で介入してこない。その間に日本と中国の間だけでそういうことが起こってしまうわけです。その後、これが国際的に正式に認められるのは、1919年のベルサイユ条約です。

 第1次世界大戦は4年の長きにわたり、数千万人の死者を出しました。この当時史上最大だった戦争の終結にあたって、二度と戦争をしてはいけないということでパリ講和会議が開かれ、国際連盟の創設が決議されて、ベルサイユ条約が結ばれます。しかしそのときに、日本も戦勝国として対支21カ条要求が正式に認められてしまうわけです。日本が中国のあらゆるところに持つ権益というものが認められます。これはいわば、アヘン戦争以降にヨーロッパ列強が、南京条約、北京条約、天津条約と不平等条約を次々に結んでいったのと同じようなものです。それから70年以上遅れて、日本がその権益を抑え込んでしまいました。

 それがベルサイユ条約が批准されたときに入ってしまったものですから、そこで猛烈な反日運動が起こります。1919年の講和会議開催中の5月4日に、中国全土で猛烈な反日デモが起こるのです。これが有名な、世に言う「五四運動」です。これはもう農民から学生から、北京をはじめ中国全土のあらゆるところで、学生が暴徒化し、民衆が暴徒化して起こりました。

 これが決定的でした。中国が日本のその不平等条約を押し付けられたのは、国際条約、ヨーロッパで締結されるベルサイユ条約の結果である、と。われわれはそこまで日本だけでなくそれ以外の諸外国、ヨーロッパ列強からも、またしてもやられたのかということになってしまうわけです。それで中国全土の反対運動が起き、それがきっかけで、ついに中国にも中国共産党ができてくるわけです。これは全て五四運動というものの結果で、明らかに反...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
自民党総裁選~その真の意味と今後の展望
「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味
曽根泰教
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
強まるアンチ・グローバリズムの動きをどう見ればいいか
岡本行夫
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治