中国の歴史認識・歴史の記憶と日中関係
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
今こそ石橋湛山。日本人の胆力が問われる正念場
中国の歴史認識・歴史の記憶と日中関係(4)終戦70年、日本の進むべき道
政治と経済
石川好(作家)
中国の反日運動は、終戦70周年の来年に向けて、ますます強まる。そのとき日本はどう振る舞うべきなのか。日本人の胆力が問われる時代、石川好氏が語る日本の進むべき道。シリーズ最終回。(全4話中第4話)
時間:12分57秒
収録日:2014年7月9日
追加日:2014年8月28日
カテゴリー:
≪全文≫

●82年、教科書問題が抗日運動の引き金になった


 前回、現在の中国のこの歴史認識、歴史の記憶論争というものと、1982年に中国で起こった大問題が似ているという話をしました。それはどういうことかということをお話しします。

 この1982年に何が起こったか。これは国交正常化ちょうど10年の年ですが、そのときに、日本の文部省(当時)が、教科書検定において、歴史の教科書の記述変更を要求したという報道がなされます。これは後に誤報だったと分かるのですが、中国に対して行った戦争を、従来は侵略戦争であったとしていたものがトーンダウンして、むしろあれは自衛戦争であったとか、例えば南京大虐殺の記述を減らすとか、日本の国内の論調が、急激にあの戦争の評価を見直す方向に向かっているということが言われました。これが、世に言う歴史教科書の書き換え問題(歴史教科書問題、教科書誤報問題)です。

 それが伝わりますと、中国では、全土で猛烈なデモが始まります。国交正常化のときに、「あの戦争は日本の一部軍国主義者が犯した罪によるもので、中国民衆と日本の民衆が等しき犠牲者であるから賠償を請求しない」という哲学といいますか、合意事項をつくって国交正常化したのに、それから10年経ってみれば、「何だ、日本はあの戦争は自衛戦争だとか、侵略ではなかったとかと、そのように見直しをしようとするのか」と。「それならば、わが中国はそれを忘れないために、中国全土にあの日中戦争に関わるような記念館をつくりますよ」という指示が出るのです。

 そのことによって、それから3年ほど経ちますと、例えば、南京のいわゆる虐殺記念館、瀋陽にある九・一八歴史博物館、偽満州国記念館、北京・蘆溝橋の中国人民抗日戦争記念館、こういったものが、1983年、4年、5年、6年ぐらいに矢継ぎ早にできていきます。しかも、各地域にあった日中戦争に関わるような名称の記念館が、軒並み抗日記念館という名称にどんどん変わっていきます。

 それはつまりどういうことかというと、「日本がそれを忘れたいのであれば、われわれは歴史の記憶を留めるために、中国全土に日中戦争で何があったかという資料を集めて公開する」ということなのです。それまで、中国の中にはそういったものがなかったのです。

●日本の「歴史の見直し」と中国の「歴史の記憶」をめぐる動き


 これは日本側...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治