トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交
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トランプ・ドクトリンの次の段階とイランへの空爆の意味
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(3)世界史の転換点としてのドクトリン
東秀敏(米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー)
2025年5月の中東歴訪でトランプ大統領は、シリアとのディールを締結した。それは、ビジネスファーストのトランプ・ドクトリンを象徴する出来事だった。これまでのアメリカ外交では考えられないこうした動きを実現した裏人脈とはいかなる存在か。イランとの歴史的和解の狙い、アメリカのイラン空爆についても触れながら、世界史の転換点ともいえるトランプ・ドクトリンの内実を考察する。(全3話中第3話)
時間:9分37秒
収録日:2025年8月4日
追加日:2025年9月27日
カテゴリー:
≪全文≫

●アメリカのシリア・ディールの狙い


 次に行きたいと思います。

 アメリカ・シリアのディールが今回サウジアラビアの訪問時に締結されたわけなのですけれど、トランプ・ドクトリンの実践のハイライトというべき瞬間でした。サウジアラビアのMBS(ムハンマド・ビン・サルマーン)皇太子の仲介で、トランプ大統領がシリアの事実上の大統領アッ=シャラア(アル・シャラア)と笑顔で握手するわけなのです。

 しかし、このシャラアという人物はアルカイーダ・イスラム国出身のテロリストのリーダー格であり、2024年の対シリア電撃侵攻以降、事実上の指導者として恐怖政治で国家統合をやっています。

 頻繁に、シリアのディールが締結された後もシリアでキリスト教徒の虐殺が行われているとか、そういうニュースを耳にするのですけれど、民主主義とはかけ離れたような国です。

 本当に、イスラム国が10年ぐらい前にシリアを支配した当時とあまり変わっていません。一方、アメリカの態度として、シリア国内のキリスト教徒にはかなり配慮をしているのですけれど、虐殺を黙認しています。トランプ大統領が先ほど(第2話)のリヤドの演説でシリアに対して言及したわけなのですけれど、「シリアに偉大さを追求するチャンス」と言いまして、その発言をした直後に、アメリカの対シリア経済制裁を全面解除しました。シリアにシェブロン等のアメリカ企業が参入して、中露の影響力の排除、つまりシリアの中立化をアメリカ企業が参入することで狙うというわけなのです。

 実は2018年に当時の第1次トランプ政権がイスラム国のテロリストのトップのジョラウニの首に懸賞金をかけたわけなのです。

 (当時、日本円で)約15億円ぐらいだったと思うのですけれど、トランプ大統領ご自身が首に懸賞をかけた人物を今回大統領として扱って、笑顔で握手しているのです。これは今までのアメリカの外交では考えられないようなことをやったわけなのですけれど、まさにこれがプラグマティズムを発祥とするビジネスファーストの、トランプ・ドクトリンのハイライトというべき瞬間でした。


●アメリカ企業のシリア参入を支えた裏人脈


 このシリア・ディールの裏側を少し考察したいと思うのですが、どういうふうにこのような物議を醸すよう...

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