トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交
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「PetroAI」とは?AI・軍事・石油で循環する経済サイクル
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(2)PetroAI経済サイクル
東秀敏(米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー)
トランプ大統領率いるアメリカが、トランプ・ドクトリンの実践場として目をつけたのは中東であった。5月に行われたアメリカとサウジアラビアとの首脳会談最大の成果はPetroAI本位制の発足だと東氏は言う。そして、サウジアラビアと中心とする石油産油国がドルの信用を担保することになるのが「PetroAI経済サイクル」だが、この経済体制がアメリカにとってどのようなメリットがあるのか。詳しく解説する。(全3話中第2話)
時間:6分00秒
収録日:2025年8月4日
追加日:2025年9月20日
カテゴリー:
≪全文≫

●米国・サウジ首脳会談最大の成果はPetroAI本位制の発足


 アメリカ、サウジアラビアの首脳会議の中身を見ていきたいと思うのですけれど、アメリカ側の認識としては、サウジアラビアでの首脳会談はトランプ・ドクトリンの初の実践場になるということで、最大の成果はPetroAI本位制の発足です。

 これは何かといいますと、歴史的に見てみますと、1944年にブレトンウッズ体制が発足して、金本位制の時代になりました。1971年にニクソンショックで金本位制の終焉が起こりました。1974年にニクソンがサウジアラビアとpetrodollar協定を締結して、事実上の石油本位制時代になったわけなのです。つまり、アメリカドルが石油に裏づけされるということになりました。

 この石油本位制は、サウジが石油取引の決済でアメリカドルのみ使用する見返りに米軍がサウジ王室を防衛、そして軍事同盟国として武器を供与する。つまり石油と武器の交換です。この決済通貨としてドルが使われたということなのです。

 2024年にサウジアラビアが当時のバイデン政権とのpetrodollar協定の更新を拒否して、石油本位制の終焉が実は同年(2024年)に起こっていました。2025年、トランプ政権がサウジアラビアと新petrodollar協定を締結して、PetroAI本位制が発足しました。

 ここで重要なのは1974年のニクソンのpetrodollar協定にしろ、2025年にトランプが締結されたといわれるシンプルな合意は、特に条約でもなくて、両国間の覚書ぐらいのレベルなのですけれど、いずれにしろ、アメリカとサウジアラビアがドルに関する協定を結んだことは揺るぎのない事実です。


●AI・軍事・石油で循環する経済サイクルの確立


 今回、トランプ大統領は、サウジアラビアと新petrodollar協定を作りました。これは何を意味するのかというと、今まで石油と武器の交換にアメリカドルが決済通貨として使われたわけなのですけれど、今回AIというものを新しく導入して、「PetroAI経済サイクル」という経済サイクルを作りました。

 これはどういうことかというと、まずAIは莫大なデータセンターを必要とします。莫大なデータセンターを必要とするということは、エネルギーの備蓄施設が必要になってきます。エネルギーの備蓄施設が必要になるということは、バックに石油がないといけません。となると、一つの経済...

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