インフレの行方…歴史から将来を予測する
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オイルショック、バブル…過去と現在の環境の共通点は?
インフレの行方…歴史から将来を予測する(3)戦後の日本経済と海外のインフレ率
養田功一郎(元三井住友DSアセットマネジメント執行役員/YODA LAB代表/金融・経済・歴史研究者)
第二次大戦後の日本経済はオイルショックやバブル崩壊の波を受けた後、長期デフレに移行する。しかし現在、低金利と国債大量購入などの緩和的金融環境、通貨量増大、通貨安、労働人口減少による供給不足に加え、コロナ後は海外のインフレ基調が上昇したため、過去のインフレ時と共通の条件が揃っている。(全6話中第3話)
時間:11分20秒
収録日:2026年1月7日
追加日:2026年2月25日
≪全文≫

●オイルショックで2倍になった物価が安定


 さて、戦後のもう一つのインフレは、1973年からのオイルショック時のインフレです。

 この時の混乱はオイルショックというくらいで、原油を中心とした供給ショックが要因です。オイルは1970年代前半1バレル2~3ドルで推移していましたが、1980年代には1バレル30ドル程度と10倍程度上昇しました。

 また、オイルショックが起きる2年前、1971年に米国はドルと金との兌換が停止されます。世界の通貨制度が金本位制から管理通貨制度に移行する、いわゆる「ニクソンショック」と呼ばれる事態が発生しています。要は米ドルの信用の裏付けが“金”から米国という“国家”に変わったわけですが、基軸通貨であったドルの価値の見直し、つまり通貨価値が下落したことで、ドルベースで見た物価は大きく上昇することになりました。

 このグラフの縦軸は1メモリで2倍になる、いわゆるログスケールグラフです。戦後のインフレが激しくオイルショックの傾きは目立ちませんが、それでもこの時期、薄い赤い帯の10年間で物価は2倍になっています。その間、実はドル円は1ドル300円から200円にかけて円高が進む局面でしたが、物価は2倍になりました。為替の影響ではなく、それだけ元になる原材料そのもののほうの物価が上がったと考えてよいでしょう。

 その後は主に供給力の向上により物価が安定に向かっていったと思われます。江戸時代に供給力の拡大で物価が比較的安定していたことと背景的には似ていると思います。そしてバブル崩壊、デフレ期となり物価はやや落ち込んでいきますが、それでもこれまで見た過去の物価推移を見れば安定推移していたといえるでしょう。


●バブル崩壊後の物価はなぜ下げどまったか


 さて、ここで一つ疑問が湧いてきます。なぜバブル崩壊後、物価はそれほど大きく下落せず安定推移していたのでしょうか。

 先ほど見た明治、大正、昭和期のグラフを振り返ると、第一次世界大戦で上昇した物価は、その後の不況で大きく下落しています。

 また、江戸期においても飢饉など供給ショックにより物価上昇したあと、物価は元の水準に戻ります。

 しかし、バブル崩壊という大きな金融ショックがあったにもかかわらず...

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