昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編
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玉砕したアッツ島の絵を毎朝拝んでいた樋口季一郎…司令官の苦しみ
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5200人の将兵を救え…米軍も称賛した「キスカ島撤退作戦」の奇跡
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(1)キスカ島撤退作戦
第二次世界大戦における日本軍の戦いで、最初に「玉砕」とされ、守備隊2600名が戦死した北太平洋・アリューシャン列島のアッツ島。樋口季一郎は北方軍司令官として、その戦いを指揮する立場にあった。米軍上陸部隊約1万の猛攻を受けたアッツ島への増援を大本営に求める樋口。だが、大本営はアッツ島放棄を決定。樋口は号泣しつつ、アッツ島守備隊長・山崎保代にそれを伝えるほかなかった。その責任を樋口は一生背負っていくことになる。その一方で樋口は、「ならば」と、アッツ島近傍のキスカ島守備隊5,000名以上の将兵の撤退を大本営に認めさせる。しかし、米軍侵攻下でいかに救出するのか……。奇跡ともいわれる「キスカ島撤退作戦」はなぜ成功したのか。軍人の面子よりも命を優先した樋口の知略と、霧に紛れた海軍の決死の作戦が織りなす感動の歴史秘話をお届けする。(全4話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:10分35秒
収録日:2019年7月30日
追加日:2026年5月21日
≪全文≫

●初の「玉砕の島」アッツ島…増援が認められず号泣した樋口季一郎


―― 次の第二のポイントですね。アッツ島の玉砕と、キスカ島からの撤退というところに行きたいと思います。

 その間の流れでいきますと、そのオトポール事件の後ですね。ノモンハン事件のあった昭和14(1939)年に陸軍中将に進級されて、第九師団、金沢に行かれた。その後に、昭和17(1942)年に札幌北部軍司令官に就かれると。ここから終戦までずっとその北海道の軍司令官ということに(なるのですね)。

早坂 そうです。北部軍が北方軍になり、それが第五方面軍になりますから。昭和18(1943)年の5月にアッツ島に米軍が上陸というか、攻撃をしてくるわけですけれど。

―― アッツ島は、北太平洋というか、あれは何と説明すればいいんですかね。

早坂 アリューシャン列島の西の端という形になりますかね。

―― ちょうどハワイからいうとずっと北方のところですね。

早坂 要するに、日本側から見ると米軍が南から、太平洋からバーッと攻めてくるわけですよね。そこに兵力が割かれていくわけなのですけれど、一方で、北から入ってくる可能性もあるということで、北の備えとしてアッツ島とキスカ島に兵を投入したと。実際に米軍がアリューシャン列島を西へ西へと進んできて、アッツ島でぶつかるというのが、昭和18年の5月ですね。

 そのときの司令官が樋口季一郎だった。樋口は当時、札幌の(北方軍)司令部にいて、作戦の指示を出すということだったわけですね。

―― アッツ島が最初の玉砕になるのですか。

早坂 そうです。結局、アッツ島には2600人ほどの日本兵が守備隊としていたのですけれど、そこに約1万人の米軍が押し寄せてくるということで、非常に厳しい戦いになるわけです。

 大本営も一時は増援を決定するのです。けれど、南太平洋のほうの戦線が悪化して、そちらに兵を集中したいということで、一度決まった増援が反故にされてしまうわけなのですね。これを樋口は、当時、号泣したといわれていますけれど、――アッツ島(現地)の守備隊長の山崎保代という方なのですけれど――その方に泣きながら伝えたという逸話も残っています。

 ですから、アッツ島はそれで玉砕という形になります。先の大戦を通じて「玉砕戦」という言葉がよくいわれますけれど、その一番最初に使わ...

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