AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
実はベテラン層こそAIを存分に活用できる…AI導入の生産性分析
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(5)AIを最も活用できるのは誰か
宮本弘曉(一橋大学経済研究所教授)
AIが企業の現場や経済全体にどのような影響を及ぼすのか。現場レベルでは、コールセンターや文章作成業務においてAIが生産性を向上させることが実証されている。特に経験の浅い層の底上げに寄与する一方、ベテランのスキル向上を妨げるという副作用も確認されている。だが一方で、ベテラン層こそ、AIを存分に活用できるという研究もある。AIが出してきた答えについて正しく判断できるベテランこそ、ステップ・バイ・ステップでAIに次々と課題を投げられるので、結果として答えの精度がはるかに高まるのである。マクロ経済の視点でも、AIが経済成長に貢献するか否かについて、世界の知の巨人たちの間でも慎重論と楽観論という2つの見解に分かれている。それぞれどのような見解なのか。最新の研究結果を交えながら解説する。(全8話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:12分24秒
収録日:2026年3月11日
追加日:2026年6月1日
≪全文≫

●AI導入で現場では何が起きているのか――プラス・マイナスの研究結果


―― そうしますと次にお話しいただきますのが、現場で何が起きているのかというところですね。

宮本 実際に生成AIはすごい能力を発揮しています。では、これを企業の現場ではどのように使っていて、どのような成果が現れているのか。そこについても、すでに研究が行われています。いくつか紹介させていただきます。

 有名なところでは、スタンフォード大学のブリニョルフソン教授がいます。この方は、以前『ザ・セカンド・マシン・エイジ』(アンドリュー・マカフィーとの共著、2014年。邦訳は村井章子訳、日経BP社、2015年)という本を書かれました。日本でも多くの方が読まれたのではないかと思います。AIやロボットといった新技術が雇用にどのような影響を及ぼすのかを長く研究されている方ですが、実際にある企業で生成AIを導入したときに何が起こったのかを分析されています。

 その企業では、コールセンターに生成AIを導入しました。そこで何が起こったかというと、まず生産性が明確に上がりました。コールセンターでは、顧客からの問い合わせに対応しますが、生成AIを使うことによって、対応件数が15パーセントほどアップしたのです。特に経験の浅い方、あるいは新人の生産性が大きく上がったというデータが出ています。

 これはチャットを使ったカスタマーサポートの事例です。お客さんから質問が来ると、生成AIが「こういった回答をしたらいいですよ」という提案をしてくれる。それを使うかどうかはオペレーターが決めることができます。新人にとっては、自分で一から考えるよりも、AIが出してくれる答えのほうがよい場合が多い。そこで、それを使うことで、生産性が上がるということです。

 結果としてお客さんの反応もよい。生成AIはベテランが出すような適切な答えを示してくれるので、お客さんもそれに満足をする。オペレーター自身も、仕事のストレスが軽減する、やりがいが増える、働きやすさも向上するといったプラスの効果が出てきたことが、スタンフォード大学の研究で明らかになっています。

 (ただ)一点、面白い部分があります。ベテランの生産性が上がったのかどうかというと、実は若干下がった可能性があるのです。

―― なるほど。

宮本 生成AIが出してくる...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
躍進するインドIT産業の可能性と課題(1)下請けから世界の中心へ
インドが世界有数のIT産業の拠点へと発展した理由
島田晴雄
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(30)AI時代の企業と道徳
【10minで考える】CPO(最高哲学責任者)…AI時代に必須の哲学とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(4)官僚集団の問題と井伊直弼のジレンマ
井伊直弼のジレンマ…政治家の実力と同居した致命的な矛盾
山内昌之
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
ウォーレン・バフェットの成功哲学(1)「世界一の投資家」の実像
世界一の投資家ウォーレン・バフェット…賢人と呼ばれる理由
桑原晃弥
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(3)全皇帝の4分の3は「非漢族」
6000万人の漢人が、三国志の戦乱後に400万人台に…衝撃の人口変動
宮脇淳子
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本の財政の真実を検証する(2)なぜ財政危機は起きていないか
なぜ財政危機は起きていないのか…国債の金利のトリックを読み解く
宮本弘曉