ルネサンス美術の見方
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マザッチョ…遠近法を生み出したルネサンス絵画の創始者
ルネサンス美術の見方(2)マザッチョと遠近法の世界
池上英洋(東京造形大学教授)
ルネサンスが始まったのは、経済的に豊かな町を作っていったフィレンツェであった。そこに登場したのが、「ルネサンス絵画の創始者」といわれるマザッチョだった。彼は古代ギリシャ・ローマに範を取りながら、それまでになかった「遠近法」という技法を生み出していった。(全8話中第2話)
時間:12分20秒
収録日:2019年9月6日
追加日:2019年10月31日
カテゴリー:
≪全文≫

●ルネサンス美術はマザッチョから始まった


 それでは、マザッチョという画家から始めましょう。この名前を耳になさったことがある方は、あまり多くないかもしれません。しかし、多くの美術史の教科書において、ルネサンスのページは、このマザッチョから始まります。それぐらい重要な画家なので、一緒に見ていきましょう。ここではとにかく、彼がルネサンス絵画の創始者であるということを、ご記憶いただきたいと思います。


●出発点となった、経済都市フィレンツェ


 やはり、ルネサンスが始まったのはフィレンツェでした。フィレンツェは、もともと産業がない地域でした。土地には主な資源がなく、当地の人々は加工貿易で富を蓄積しました。特に生糸を今のベルギーあたりから輸入して、彼らのやり方を見て、見よう見まねで付加価値のある繊維を作り、売っていたのです。そうした加工貿易で活路を見いだした点で、われわれ日本としては、少し親近感がわくような感じもします。彼らはそれした加工貿易によって得た利益を、さらに金融業に投資して、ヨーロッパで最も経済的に豊かな町をつくります。

 そこに登場したのがマザッチョでした。残念ながら、彼は26~27歳の時に亡くなってしまいます。原因はおそらくペストでした。そのため、彼の作品数は非常に少ないのです。それも壁画がほとんどなので、日本には持ってこられません。ということで、日本ではあまり知られていないのです。

 とにかく、もしフィレンツェに行かれる機会があれば、2カ所お薦めしたいところがあります。1カ所はわれわれ美術史家にとっての聖地である、有名なブランカッチ礼拝堂です(もう1か所はサンタ・マリア・ノヴェッラ教会)。

 これは学生さんたちと一緒にフィレンツェに行った時に撮った写真です。お分かりのように、このブランカッチ礼拝堂は、20人も入ればいっぱいになってしまう大きさの礼拝堂です。サンタ・マリア・デル・カルミネという教会の中にあります。この壁画装飾は、3人の画家によって手がけられました。1人がマザッチョ、そしてもう1人がマゾリーノです。この2人はおそら...

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