ルネサンス美術の見方
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
カンヴァスと油彩画の組み合わせを定着させたティツィアーノ
ルネサンス美術の見方(8)ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノ
池上英洋(東京造形大学教授)
フィレンツェと北方に次いで、ヴェネツィアはルネサンス第3極として位置付けられる。特に最大の巨匠であるティツィアーノは、共和国の筆頭画家として活躍した。海運国家の特性が対象や技法に現れており、特にカンヴァスと油彩画の組み合わせは、今日の美術の出発点となっている。(全8話中第8話)
時間:11分05秒
収録日:2019年9月6日
追加日:2019年12月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●十字軍が海路を使うようになり、海運国家ヴェネツィアの地位が向上


 さて、ルネサンス美術シリーズの最後を飾るのは、ティツィアーノという画家です。彼は生まれた時期がシリーズの中で紹介した画家の中では一番遅いのですが、ヴェネツィア最大の巨匠です。

 ヴェネツィアは、前にご紹介しました北方やフィレンツェに次ぐ第3極として位置しています。そして、彼はヴェネツィア派最大の巨匠であるだけでなく、カンヴァス画を普及させた人としても重要です。さらに、官能美を肯定するというムーブメントを生み出した人としても重要です。では、見てまいりましょう。

 ティツィアーノは、1488年あるいは90年に生まれた人で軍人の息子でした。ヴェネツィアは当時、経済大国として権勢を誇っていました。これは、十字軍のおかげです。十字軍はエルサレムを取った後、そこに何度も何度も行きます。その時、ヨーロッパの真ん中あたりから来た騎士たちは最初、陸路を通っていたのですが、そこは距離が長く、しかもイスラム圏を通るのは危険であったため、海路を使うようになりました。


 そうなると、ヴェネツィアが有利になります。しかもヴェネツィアは、面白いことをやりました。エルサレムの人々に船や兵隊、食料を提供していたのです。もちろん、契約を結んでお金を取っていたのですが、これを少し安く抑えました。その代わりに、新しい領土を取ったらそこを一部割譲してくれという契約を結びました。これによって、十字軍の前半期には、ヴェネツィア共和国はどんどん大きくなっていきました。

 最大で、210万人の国になりました。これは当時、ヨーロッパの中でも大国のほうでした。経済力としても、フィレンツェに並ぶ経済の極になるので、ちょうど当時のフィレンツェのフィオリーニ(フローリン)とヴェネツィアのドゥカートの2つが、今日のドルと円、あるいはドルとユーロの関係になるぐらい、力を誇りました。


●ルネサンスの終わりはイタリアの衰退期と重なる


 しかし、ティツィアーノが生まれたすぐ後の1492年には、ご存じのようにコロンブスがアメリカ大陸に到達します。その後、急速にヨーロッパの経済的な活動の重心が、大西洋に移動してきたのです。そ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己
『古今和歌集』仮名序を読む(1)日本文化の原点となった「仮名序」
『古今和歌集』仮名序とは…日本文化の原点にして精華
渡部泰明
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
バッハで学ぶクラシックの本質(1)リベラルアーツと音楽
中世ヨーロッパの基礎的な学問「7自由学科」の一つが音楽
樋口隆一
『源氏物語』ともののあはれ(1)雅な『源氏物語』の再発見
『源氏物語』の謎…なぜ藤壺とのスキャンダルが話のコアに?
板東洋介

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(16)宮本弘曉先生:AI大格差
【10min解説】宮本弘曉先生「AI大格差」仕事と給料の未来
テンミニッツ・アカデミー編集部
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(4)「国のかたち」を守った男たち
全責任をかぶることを恐れず本義を貫く…樋口季一郎の決断と行動
門田隆将
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
百人一首の和歌(1)謎の多い『百人一首』
『百人一首』の歌が選ばれた理由とは?今も残る3つの謎
渡部泰明
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「逆・タイムマシン経営論」で磨く経営センス(1)人口問題の本質
「逆・タイムマシン経営論」は本質を見抜くための方法論
楠木建
ウェルビーイングを高めるDE&I(3)人的資本経営の核となるDE&I:前編
DE&Iとは何か?よくある誤解からポイントを理解する
青島未佳
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(2)ノイズと半身社会の処方箋
ノイズを楽しむ――半身社会の「読書と教養のすすめ」
三宅香帆