作風と評論からみた印象派の画期性と発展
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
印象派を世に広めたモネ《印象、日の出》、当時の評価額は
作風と評論からみた印象派の画期性と発展(2)モネ《印象、日の出》の価値
安井裕雄(三菱一号館美術館 上席学芸員)
第1回印象派展で話題となっていたセザンヌ。そのセザンヌと双璧をなすインパクトを与えた作品があった。それがモネの《印象、日の出》である。印象派の発展において重要な役割を果たした本作品をめぐる歴史的議論や当時の市況を解説する。(全4話中第2話)
時間:9分13秒
収録日:2023年12月28日
追加日:2025年7月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●モネ《印象、日の出》の出展作をめぐる議論


 第1回印象派展では《モデルヌ・オランピア》、あるいは《首吊りの家》といったセザンヌの作品がたいへん話題になっていました。目立った評論はセザンヌに多くを割かれていることが多いのですけれど、もう1人の画家、モネもその双璧と呼べる位置にあったと思います。

 特にモネは、この《印象、日の出》という作品によって印象派の名前とともに美術史に強く記憶されることとなります。

 この作品は、印象派の名前が広まるに当たって重要な役割を果たしていたキーとなる作品なのですけれど、高名なる美術評論家ジョン・リウォルドが『印象派の歴史』という大部の著作の中の4回目の改訂に、印象派展に出品された《印象、日の出》はこの作品ではなくて、別の作品であると述べるようになりました。

 最終的にその説は長い間議論され、覆されることになります。その決定的なリサーチがなされたのは、実は2014年のことなのです。長い間、間違いなく、今ご覧いただいているマルモッタン美術館の《印象、日の出》が第1回印象派展の出品作であると同定されていたのですけれど、リウォルドの説に対して決定的な反論はできていなかったのです。

 ところが、第1回印象派展から140年の記念の年に所蔵館であるマルモッタン美術館の館内の人間、研究者だけではなくて、外部の修復家、美術史家、天文学者、物理学者とチームを組んで、当時の記録から、完全に洗い直して調査し直しました。その結果、この作品が描かれた場所であるルアーヴルを、モネは1873年には訪れているのだけれど、画面の中に記載のある1872年には訪れていないといわれており、これが定説になっていたのですが、制作年は1872年ということで断定されました。


●水門から見える背景と当時の売値相場


 制作年の問題が解消されたところで、この作品についてもう1度分析し直してみたところ、絵の中に水門が描かれているのがお分かりいただけると思うのです。グレーの帯が途中で少し切れて、中景ぐらいでもう1度グレーが続いています。

 これは水門なのですけれど、ここができて、そして開かれていた日時は、当時の港の造成の記録、工...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷
釘貫亨
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
音楽はなぜ時代を映し出すのか?…音楽と人の歴史の関係
片山杜秀
バッハで学ぶクラシックの本質(1)リベラルアーツと音楽
中世ヨーロッパの基礎的な学問「7自由学科」の一つが音楽
樋口隆一
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
『古今和歌集』仮名序を読む(1)日本文化の原点となった「仮名序」
『古今和歌集』仮名序とは…日本文化の原点にして精華
渡部泰明
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
ピアノの歴史は江戸時代に始まった
野本由紀夫

人気の講義ランキングTOP10
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(4)ユダヤ人と金融
金融業にユダヤ人が多い理由、そして大国興亡史の裏面のユダヤ人
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(10)ユダヤ人特集~鶴見太郎先生
【10min解説】鶴見太郎先生《教養としてのユダヤ人の歴史》
テンミニッツ・アカデミー編集部
ユダヤ神話の基本を知る
ユダヤ教の神話…天地創造、モーセの十戒、死後の世界
鎌田東二
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(7)日本の倫理こそ未来の理想
他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
賴住光子
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(7)若者の引きこもりと日本の教育問題
日本の引きこもりの深い根源…「核家族」構造の問題とは?
與那覇潤
新撰組と幕末日本の「真実」(序)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の魅力と史実の絶妙さ
新撰組と『ちるらん 新撰組鎮魂歌』…群像劇としての魅力の源泉に迫る!
堀口茉純
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(4)新規事業成功のポイント
新規ビジネスの立ち上げ方、伸ばし方、見切り方の具体例
水野道訓