印象派とは~画家たちの関係性から技法まで
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
セーヌ川ラ・グルヌイエールにみるモネとルノワールの違い
印象派とは~画家たちの関係性から技法まで(8)モネとルノワールと印象派の出発点
安井裕雄(三菱一号館美術館 上席学芸員)
モネとルノワールの《ラ・グルヌイエール》は、パリ近郊の保養地ラ・グルヌイエールで描かれた作品で、印象派の出発点ともいわれている。興味深いことに、同じとき、同じ場所で描かれた両者の作品から、2人の作風の違いが如実に表れている。具体的な描き方や着眼点の違いを見ながら、それぞれが学んできた画法の影響を読み解いていく。(全8話中第8話)
時間:10分11秒
収録日:2023年12月28日
追加日:2025年2月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●《ラ・グルヌイエール》から分かるモネとルノワールの作風の違い


 1869年のことでした。モネとルノワールは2人仲良く並んでセーヌ川に位置する、このラ・グルヌイエールというパリ近郊の保養地へ行き、屋外に並んでカンバスを出して、2人ともパレットを持って、そしてチューブから出した絵の具そのままで作品を描き始めます。

 もっとも、この時点で2人ともサロンに出品する作品は別に描くことを考えていたようです。つまり、アトリエで丁寧に描いて、仕上げを施してから筆跡とかをできるだけ残さないようにしながら、完成作として大きな画面に描いて提出しようと考えていたようです。けれど、現場で描かれたこの作品には明らかに筆跡が多く残っていますし、絵の具も混ぜられていません。

 これは、現在メトロポリタン美術館が所蔵している《ラ・グルヌイエール》です。ラ・グルヌイエールという保養地にあります。カマンベールとか、植木鉢とか呼ばれます、水の中に浮かんである中の島です。これがちょうど植木鉢の形をしていたので、あるいはチーズのカマンベールのような遠景をしていたので、そう呼ばれます。ここに橋がかかっており、浮き船もしつらえられています。水浴びをする人たちが水着に着替えて、ここから水の中に入ることができるというようなしつらえになっていましたし、中の島といったらいいのか、浮島ともいえない小さな島のところには水浴している家族や、連れ合いを待つ人々が描かれています。

 モネの関心は明らかに水面の反射、反映です。あと、たゆたう船です。もっとも、船が動くことによって水面の波の形は変わっていきます。背景の風景は、どちらかというと明るい色面でザッと絵筆で塗っていった感じがします。

 ルノワールが同じときに同じ場所で描いたものを見ますと、少し雰囲気が違います。水面の部分は、隣にいたモネに倣ってでしょうか、比較的大ざっぱな筆使いで描いていますけれど、カマンベールの中の島の上にはファッショナブルに着飾った人物たちがいますし、モネがまったく描いていなかった犬もお腹を見せて横たわって描かれています。

 モネとルノワールの関心の違いは、まずこういった描かれているモティーフそのものにも見えていますし、何よりも背景のところを見ていただくと、2...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
古関裕而・日本人を応援し続けた大作曲家(1)恩師との出会い
六甲おろし、栄冠は君に輝く、長崎の鐘…古関裕而の魅力
刑部芳則
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
バッハで学ぶクラシックの本質(1)リベラルアーツと音楽
音楽の父バッハ…なぜ「音楽」が西洋でリベラルアーツなのか?
樋口隆一
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
クラシック音楽で世界史がわかる…宗教音楽からクラシックへ
片山杜秀
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨

人気の講義ランキングTOP10
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
日本の財政の真実を検証する(2)なぜ財政危機は起きていないか
なぜ財政危機は起きていないのか…国債の金利のトリックを読み解く
宮本弘曉
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
石田梅岩の心学に学ぶ(6)禅から茶道へ
全てが悟りに至る道…日本は茶や花や野球にも「道」がある
田口佳史
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎