印象派とは~画家たちの関係性から技法まで
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セーヌ川ラ・グルヌイエールにみるモネとルノワールの違い
印象派とは~画家たちの関係性から技法まで(8)モネとルノワールと印象派の出発点
安井裕雄(三菱一号館美術館 上席学芸員)
モネとルノワールの《ラ・グルヌイエール》は、パリ近郊の保養地ラ・グルヌイエールで描かれた作品で、印象派の出発点ともいわれている。興味深いことに、同じとき、同じ場所で描かれた両者の作品から、2人の作風の違いが如実に表れている。具体的な描き方や着眼点の違いを見ながら、それぞれが学んできた画法の影響を読み解いていく。(全8話中第8話)
時間:10分11秒
収録日:2023年12月28日
追加日:2025年2月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●《ラ・グルヌイエール》から分かるモネとルノワールの作風の違い


 1869年のことでした。モネとルノワールは2人仲良く並んでセーヌ川に位置する、このラ・グルヌイエールというパリ近郊の保養地へ行き、屋外に並んでカンバスを出して、2人ともパレットを持って、そしてチューブから出した絵の具そのままで作品を描き始めます。

 もっとも、この時点で2人ともサロンに出品する作品は別に描くことを考えていたようです。つまり、アトリエで丁寧に描いて、仕上げを施してから筆跡とかをできるだけ残さないようにしながら、完成作として大きな画面に描いて提出しようと考えていたようです。けれど、現場で描かれたこの作品には明らかに筆跡が多く残っていますし、絵の具も混ぜられていません。

 これは、現在メトロポリタン美術館が所蔵している《ラ・グルヌイエール》です。ラ・グルヌイエールという保養地にあります。カマンベールとか、植木鉢とか呼ばれます、水の中に浮かんである中の島です。これがちょうど植木鉢の形をしていたので、あるいはチーズのカマンベールのような遠景をしていたので、そう呼ばれます。ここに橋がかかっており、浮き船もしつらえられています。水浴びをする人たちが水着に着替えて、ここから水の中に入ることができるというようなしつらえになっていましたし、中の島といったらいいのか、浮島ともいえない小さな島のところには水浴している家族や、連れ合いを待つ人々が描かれています。

 モネの関心は明らかに水面の反射、反映です。あと、たゆたう船です。もっとも、船が動くことによって水面の波の形は変わっていきます。背景の風景は、どちらかというと明るい色面でザッと絵筆で塗っていった感じがします。

 ルノワールが同じときに同じ場所で描いたものを見ますと、少し雰囲気が違います。水面の部分は、隣にいたモネに倣ってでしょうか、比較的大ざっぱな筆使いで描いていますけれど、カマンベールの中の島の上にはファッショナブルに着飾った人物たちがいますし、モネがまったく描いていなかった犬もお腹を見せて横たわって描かれています。

 モネとルノワールの関心の違いは、まずこういった描かれているモティーフそのものにも見えていますし、何よりも背景のところを見ていただくと、2...

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