印象派とは~画家たちの関係性から技法まで
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
マネ《オランピア》がスキャンダラス…モネへの影響の真相
印象派とは~画家たちの関係性から技法まで(5)《草上の昼食》と《オランピア》
安井裕雄(三菱一号館美術館 上席学芸員)
マネの《草上の昼食》の影響を受けて、描かれたモネの《草上の昼食》。屋外で描かれたその表現の斬新さは、光の描き込み方をバジールの《家族の集い》など他の作品と見比べれば一目瞭然である。しかし、そんな画期的なモネの《草上の昼食》も、サロンへの出品が果たされることはなかった。その一つの理由として、スキャンダラスといわれたマネの《オランピア》の存在があったのではないかという話がある。いったいどういうことなのか。その経緯について解説する。(全8話中第5話)
時間:12分59秒
収録日:2023年12月28日
追加日:2025年1月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●光の表現から見るモネの《草上の昼食》の革新性


 さて、マネの《草上の昼食》なのですけれど、屋外で人が集まった姿はモネの《草上の昼食》にも影響を与えています。

 モネの《草上の昼食》は屋外で描き始められまして、最終的にあまりにも巨大なサイズですので、完成作はアトリエで仕上げられています。これは当時たいへん革新的な作品でした。

 例えば、バジールの《家族の集い》という作品と見比べていただきます。バジールは1870年に亡くなっています。つまり第1回の印象派展が始まる前に亡くなっているのですけれど、モネと同じ主題である屋外の群像表現というものにたいへん関心を抱いていました。

 ただ、バジールの表現は、画面の手前の下のほうに木漏れ日が落ちています。地面にチラチラとした木漏れ日が描かれているのですけれど、同じように人物たちにも木漏れ日は当たっているはずです。けれど、描かれた人物たちには均等に光が当たって、あたかもちょうどカメラで撮影するときに集合写真を撮るときに、クラス(学校)写真でもいいのですけれど、巨大なストロボを使って、フラッシュでバッと撮ったかのような均一な光が当たっています。木の葉の裏の部分もこれも陰になってもっと黒くなるはずなのですけれど、明るく光が当たっています。人工光と自然光のハイブリッドで出来上がっているのです。

 そうやって考えていきますと、モネの《草上の昼食》がいかに先端的な表現であったか、です。仲間の画家たちでさえも試みていなかったことをいちばん先頭に立って押し進めてきたということで、いかに斬新な表現であったかということはお分かりいただけるかと思います。

 ただ残念なことに、この作品はサロンへの出品を意図して制作されたのですけれど、最終的にサロンに出品されることはありませんでした。

 一説によりますと、画中にも描かれている太った髭の生えている座った人物はクールベなのですけれど、クールベがあるときモネのところを訪ねてきて、この作品を見て一言いったところ、モネは描き直し始めてしまったというのです。それが理由で最終的に出品を断念したのだともいわれていますけれど、実は真偽のところは分かっていません。

 ただ、残され...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
バッハで学ぶクラシックの本質(1)リベラルアーツと音楽
中世ヨーロッパの基礎的な学問「7自由学科」の一つが音楽
樋口隆一
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
ピアノの歴史は江戸時代に始まった
野本由紀夫
『源氏物語』ともののあはれ(1)雅な『源氏物語』の再発見
『源氏物語』の謎…なぜ藤壺とのスキャンダルが話のコアに?
板東洋介
古関裕而・日本人を応援し続けた大作曲家(1)恩師との出会い
六甲おろし、栄冠は君に輝く、長崎の鐘…古関裕而の魅力
刑部芳則

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(22)「中国古代史」特集紹介!
【10min解説】「中国古代史という知の宝庫」特集の各話紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(3)全皇帝の4分の3は「非漢族」
6000万人の漢人が、三国志の戦乱後に400万人台に…衝撃の人口変動
宮脇淳子
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉
老子の神髄(6)無為と矛盾のススメ
無為とは緊張感を持って見つめること…なぜ矛盾を大歓迎すべきか
田口佳史
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(4)情報と教養の違い
教養がおろそかな人の限界…「教養は頭の中に、情報は頭の外に」
橋爪大三郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(3)3つの一神教、それぞれの物語
信じる神は同じだが…ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の異同点
鶴見太郎
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博