印象派の解体と最後の印象派展
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ドガ《エトワール》…新技法を追求した印象派の代表作品
印象派の解体と最後の印象派展(3)観察と探究のドガ
安井裕雄(三菱一号館美術館 上席学芸員)
印象派展からその中心だった風景画家たちが退いていく中で、リーダーシップを取った画家の一人がドガだった。それまでは主題になりづらかった卑近な瞬間を切り取るその卓越した観察眼や、油彩が主流の印象派においてパステル画や蝋の彫刻を出品したドガ。そうした彼の独自の手法の探究を解説する。(全5話中第3話)
時間:10分11秒
収録日:2023年12月28日
追加日:2026年3月14日
カテゴリー:
≪全文≫

●卓越していたドガの観察眼


 この間、印象派の画家たちのうちの主要な画家たちが、だんだんと印象派展から離脱していく中で、中心となっていた画家はピサロとドガでした。特にドガは印象派の中にあって、その独自の表現が際立っていました。印象派のグループの中には、現代ではそれほど名前が知られていない何人もの画家たちが、ドガの影響を受けてドガ風の作品を出品して、ドガの仲間たちと目されていました。

 その中でも、一番有名でかつ優れていたのは、アメリカ人の女性画家である、あのメアリー・カサットだと思います。

 ドガは最初、歴史的な事物を描く画家としてスタートしましたけれど、競馬あるいはこのような踊り子たちといった同時代の風俗、風物、人物の表現にだんだんと集中していくようになります。競馬、踊り子、湯浴みをする女性、これを私はドガの3つの大きな主題だと思っていますけれど、競馬などは第1回の印象派展でももう出品されていますし、このバレエのレッスンを描いた踊り子たちの姿(の作品)ですが1回展、2回展ともに出品されている。比較的後の時代になってドガが描くようになったのが、この金たらいを使って(湯浴みをして)いる作品です。

 昔は日本の家庭でもけっこうよく見たものですが、最近ではもうほとんど見なくなってしまいました。日本のように水環境の良くないフランスでは、長い間、部屋の中にバスタブがない家庭も多かったのです。

 ホテルもほとんどバスタブなしのホテルばかりでしたし、私がフランスを訪れたときに泊まるホテルはシャワー共同です。お手洗いも共同です。シャワーがお部屋の中にないところも長い間、本当にごく最近までフランスで普通だったと私は思っています。その中でどうやって身体をきれいにするのかというと、少ない水を使って効果的に身体を洗うためには、こういった金たらいを使って身体を洗うということしか方法がなかったのです。

 ドガの卓越したところは、そういったまったく絵にならないような主題ですが、その中での人物の動作を一瞬にして切り取ってしまう。同時代の画家たちが何も考えもしなかったような視角、視点の角度から――これは浮世絵の影響とも...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
『源氏物語』ともののあはれ(1)雅な『源氏物語』の再発見
『源氏物語』の謎…なぜ藤壺とのスキャンダルが話のコアに?
板東洋介
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
『古今和歌集』仮名序を読む(1)日本文化の原点となった「仮名序」
『古今和歌集』仮名序とは…日本文化の原点にして精華
渡部泰明
古関裕而・日本人を応援し続けた大作曲家(1)恩師との出会い
六甲おろし、栄冠は君に輝く、長崎の鐘…古関裕而の魅力
刑部芳則
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿…対比で見えてくる現代的課題
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(24)「皇室典範改正」を考える
【10minで考える】「皇室典範改正」社会の空気をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
中国春秋戦国時代と始皇帝(6)秦の恵文王、昭王、荘襄王の時代
秦による中国統一への道…恵文王、昭王、荘襄王が行なったこと
鶴間和幸
老子の神髄(8)『老子道徳経』「辯德第三十三」
「死して亡びざる者は壽なり」…主体的に生きなければ自由はない
田口佳史
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
天皇のあり方と近代日本(4)三島由紀夫VS東大全共闘
「人間天皇」を否定した三島由紀夫の思想が問うものとは
片山杜秀
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(2)『太平記』の複雑な成立過程
後醍醐天皇の鎮魂物語だった『太平記』改訂の秘密
兵藤裕己
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(2)在留邦人の生命財産を保護する決断
武装解除の「厳命」を守るか、戦って在留邦人の「生命」を守るか
門田隆将
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉