印象派の解体と最後の印象派展
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ゴーガン、ルドン、スーラ、ゴッホ…ポスト印象派の時代へ
印象派の解体と最後の印象派展(5)ポスト印象派の台頭
安井裕雄(三菱一号館美術館 上席学芸員)
最後の印象派展となった第8回の展示では、ルドンやスーラなどが新たな表現を示し、ポスト印象派の台頭を象徴することになった。第1回印象派展が開催されてから12年の歳月を経て、時代は印象派からポスト印象派に移っていたのだ。印象派の解体と新時代の突入、その歴史の転換点を振り返る。(全5話中第5話)
時間:11分31秒
収録日:2023年12月28日
追加日:2026年3月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●ポスト印象派の点描の実験


 印象派の画家たちは絵の具を使うときに、色を混ぜ合わせないようにしていました。あまり絵の具を混ぜると、絵の具が濁ってきて暗くなってしまうのです。

 例えば、太陽の光、あるいは照明などを光源から出る光を混ぜ合わせたときには、このようにどんどん明るくなっていきます。これは「減色法」といいますけれど、テレビのモニターがRGB、つまりレッド、グリーン、ブルーの3色(赤・青・緑の3つの色)の発光体によって全部発光すると白になるというロジックで作られています。それと同じ方法です。

 照明から出る光が混ざる場合には、このようにどんどん明るくなっていいのですが、絵の具を混ぜてしまうと(どうなるか)。これは「加色法」といい、現在の印刷のパターンではシアン、マゼンタ、イエローです。(つまり)シアン=青、マゼンタ=ピンク系の赤、イエローを混ぜることによって(全部色を重ねてしまうと)黒になると、論理的にはいわれます。ただし(実際には)汚い灰色にしかなりませんが、理論的には全部色を混ぜると真っ黒になるのです。

 ただ、現実はしばしば理屈通りにいかないので、印刷のときにはこの3色、シアン、マゼンタ、イエローに黒、(つまり)墨色を加えます。なので「CMYK法」と呼ばれる加色法なのですが、色を加えていく方法です。

 印象派の画家たちはとにかく絵の具を混ぜるという(ことで)、黒はシャープな黒にはできないし、かといって色味がどんどん暗くなっていくだけであるということを体験的に行っていたのです。

 印象派の画家たちはそれでも筆跡を残す形で不規則な色を並べていったのですが、「新印象派」と呼ばれるグループ――これは「ポスト印象派」という、印象派の後の時代に分類されるグループ(の中の一つ)ですが――のスーラ、シニャックなどは点描という方法を体系化していきます。どうせ色を混ぜないのだったら、色を小さな点にしてしまって、システマティックに並べていけばいいのではないかということです。

(こちらが)ピサロの点描による代表作です。スーラ、シニャックが描いているところを尻目で(横目で)見ながら(描いた作品です)。

 ピサロ自身も以前でしたら若い画家たちに影響...

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