現在のユダヤ人の二大拠点はイスラエルとアメリカだが、両国の間のユダヤ人の意識はかなり離れつつあるという。よって、「ユダヤ人」ということで一括りに彼らを理解しようとすると、大きく見誤ることになる。同じユダヤ教という信仰を持っていても、その政治的立場や価値観は実に多様なのだ。そのことがうかがえる現地のデモ行進の写真などをもとに、われわれがイスラエルやパレスチナの問題を考える際のあるべき視座を問う。(全9話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
≪全文≫
●一枚岩ではない…イスラエルの中にも反ネタニヤフの人がいる
―― そういう点で、先生がいくつか写真をお持ちくださっています。
鶴見 はい。
―― どうしてもイスラエルとなると、一枚岩というか、みんなそんな考えなのかと思ってしまいがちですけれど、本当にいろいろな方々がいらっしゃるというところなのですね。
鶴見 そうですね。
―― これはどういう写真になりますか。
鶴見 これは私が(イスラエルに)いた2025年の9月末ぐらいにあった1つのユダヤ教のお祭りです。いろいろなお祭りがあるのですけれど、その中の一幕です。スリホット(Selichot)というお祭りなのですが、文字通り、「ごめんなさい」みたいな意味で、要するに神に謝る、自分がやったことを悔いるためのお祭りです。
このエルサレムの旧市街の、ユダヤ教では西の壁(「西壁」)、日本では「嘆きの壁」という言葉で有名だと思いますが、この壁の上のほうに、古代、神殿があったといわれているところ(があり)、そこでお祈りをしている人たちで、宗教的な人が多いですね。
実はこの時にベングビールという宗教シオニストの閣僚の1人が――パレスチナ人に対して非常に過激なことを言っている人ですけれど――来たりして、みんながみんな宗教シオニストではないと思いますが、宗教的な人が中心に集まっています。この時はイスラエル人の友人に連れてきてもらったのですけれど、彼は一度も来たことがないと(言って、)むしろ私がいるので、いい機会だということで(来ました)。
―― 見学みたいなことですね。
鶴見 そうです。東京の人というか、日本人が豊洲市場に一度も行ったことがないみたいなのと同じようなことです。
―― そうですね。
鶴見 要するに、全然こういう世界とはかけ離れたユダヤ人もイスラエルの中にいるということなのです。
―― そういうことですね。次の写真はデモ行進ですね。
鶴見 これは、私が同じく2025年に滞在していたときのハイファというイスラエル北部の町です。そこで毎週土曜日の夕方に、反ネタニヤフデモが行われていて、この時はまだ人質も20数名ガザに残っていた時で、にもかかわらず、ネタニヤフがどんどんガザへの攻撃を続ける、拡大させるという時だったのです。それに反対するデモです。...