教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」
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一神教とは、選民思想の真相とは…ユダヤ教の「最終目的」を考える
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(2)厳格な一神教と選民思想
鶴見太郎(東京大学大学院総合文化研究科 地域文化研究専攻 准教授)
ユダヤ教はヤハウェを絶対的な神とする一神教だ――その発想は、後続のイスラム教やキリスト教にも受け継がれているが、ユダヤ教は厳格な絶対性を一つの神にもたせることが大きな特徴である。そのことがユダヤ人にどのような影響を与えているのか。「選民思想」に結びつけられた誤解とともに解説する。(全9話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:9分48秒
収録日:2025年12月5日
追加日:2026年4月13日
≪全文≫

●ユダヤ教の神は「守護神」のようなイメージ


―― そのような宗教としてのユダヤ教があってということになりますけれど、もともとのユダヤ教なりユダヤ民族の発祥の地が、それこそ今、イスラエルがありますけれど、パレスチナといいますか、中東になってくるという、そのような理解でいいということですね。

鶴見 そうですね。昔のことなので、明確に証明するのはなかなか難しいところはあるのですが、少なくともユダヤ教自体はその地域の生まれで、そこでユダヤ教をやっていた人たちが、古代から商業などもあって、けっこういろいろな地域に散っていったということもあります。

 最終的にはローマ帝国に破壊されて、さらに散っていくことになるわけですが、基本的には少なからずそこから派生した人であるということは考えられます。明確には、全員がそうかというと、なかなかはっきりとは分からないところではあるのですが…。

―― そこで、特にユダヤ教ということでいった場合に、とりわけ伝統的な宗教(多神教)に親しんでいる日本人からすると興味深いのは、なぜ一神教なのだろうかというところです。日本人は基本的にはいわずもがな、多神教の文化の中でずっとこれまでやってきた歴史がありますから、一神教は自分たちとは違うようなものに見えるのです。なぜ一神教かというのがこの本を読んでいてすごく興味深く、“負けていく歴史”と表裏一体がたいへん興味深かったのです。そこもぜひ教えていただけますか。

鶴見 一神教という概念は、特に一番厳格な一神教概念のユダヤ教と、それに続くキリスト教、イスラム教が採用しているのです。神の概念自体は古代からずっとあるわけです。

 これはいろいろなタイプがあるので、神はこういう概念だといいにくいのですが、少なくともユダヤ人の昔いたあたりで理解されていたのは、日本語でいうところの「守護神」みたいなイメージなのかなと思います。共同体それぞれに神がいて守ってくれているというイメージがそれぞれの共同体の中であって、その後ユダヤ人と呼ばれるようになった人たちの間でも、自分の神様がいて、その神様を信仰している者同士でまとまるというイメージでいたわけです。

 けれど、この考え方でずっとやっていると、共同体同士で戦争になったときに、負けたときに守護神の立つ瀬がなくなるわけです。神は守ってくれなかったということで、例えば...

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