ユダヤ人の間で金融業が発達したのはなぜか。そこには、共通の信仰を実践する仲間としての信頼が大きく関わっていた。さらにはタルムードの読解を通じた読み書きの能力も、その発達に貢献していたようだ。ユダヤ人と経済の単純ならざる関係をひも解いていく。(全9話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
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●ユダヤ人が金融に長けているワケ
―― そのあたりの蓄積があるのと、これも非常に興味深かったのが、なぜ金融業に携わる方が多かったのかというところです。これは聖書(の規定)でしょうか、要するに同胞というか、同じ信仰の人から利子を取るのはけしからんということだけれど、異教徒ならばいいだろうみたいなことで。その中でいうと、キリスト教徒が多い社会やイスラム教徒が多い社会の中で、違う宗教を信じているユダヤ教の人たちは、その利子をつけた商売がしやすかったというのもまた1つの理由になるわけですよね。
鶴見 そうですね。ただ、それだけが理由というわけでは必ずしもなくて、同胞同士でも、本当は金融みたいなものはしたいわけなのです。
あと、異教徒であればいくらでも利子を取っていいというほどまでには、実際にはなっていなくて、基本的には利子はあまり取らないほうがいいという考え方ではあって、裏技的に利子ではない形で実質的に利子といえるようなやり方をしていたという部分があるのです。
それでもユダヤ人の間で金融が発達したのは、そういう教義上のものというよりは、まずいろいろな世界にネットワークを持っていて、かつ、信頼ができる。同じユダヤ人として同じものを信仰して実践をしていますので、それを見せているわけです。(つまり)ちゃんと実践しているかどうかということです。
―― 外形的にも、ユダヤ教の人はそれぞれ、(例えば)特徴のある帽子を被られる人とか、いろいろございますよね。
鶴見 そうですね。もちろん、一瞬では変装しているだけかもしれないわけですけれど、日々その金融業の付き合いの中で、あの人はちゃんといつもユダヤ教を実践しているということでだいたい分かってくるので、それで信頼が置けるということで、(それが)各地にそういうネットワークが作られて、文字通りお金を融通しやすい場所でやりとりをするということができるという条件です。
もう1つ、金融はまさに帳簿をつけるということとセットです。頭の中でどんぶり勘定でやっていては、利益がなかなか出せない(分からない)ということになってくるわけです。帳簿が管理できるためには文字が読めるし、書けるということが非常に重要です。
今日では帳簿をつけるぐらい――もちろん専門的なのは難しいにしても――(つまり)少し数字を書くぐらいだとどうということはないわ...