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妄想から始まる「ビジョンドリブン」で創造的な社会をつくる

ビジョン講座「直観と論理をつなぐ思考法」(1)「ビジョンドリブン」と創造性

佐宗邦威
戦略デザインファームBIOTOPE 代表
情報・テキスト
『直感と論理をつなぐ思考法―VISION DRIVEN』
(佐宗邦威著、ダイヤモンド社)
ビジョンのスタートは妄想から始まる。そう話すのはベストセラーとなった『直感と論理をつなぐ思考法―VISION DRIVEN―』(ダイヤモンド社)の著者、佐宗邦威氏。妄想から始まるとはどういうことなのか。また、ビジョンをどのように形にしていくのか。そして、いかにして自らのビジョンを動力にして生きていくか。佐宗氏が唱える「ビジョンドリブン(妄想駆動)」という考え方について、創造性をキーワードに論じる。(全8話中第1話)
時間:09:47
収録日:2020/11/04
追加日:2020/11/30
≪全文≫

●何をしたいのかという意思を具体的にしたものがビジョン


 皆さんこんにちは。

 私、戦略デザインファームBIOTOPEの代表、佐宗と申します。こちらは『直感と論理をつなぐ思考法―VISION DRIVEN―』(ダイヤモンド社)で、2019年の3月に発刊してから現在9万部近く発売されている本になるのですが、いわゆるビジョンをどのように作っていくのかということに関して書いた本です。今回の講座では、こちらの本の内容を少し紹介しながら、皆さん自身が、もしくは個人や会社がどうやってビジョンを具体的につくっていくのかということについて、お話ししていきたいと思います。

 では、早速始めたいと思います。

 こういうことってありませんか。
・テクノロジーの目線からしか、新規事業や会社のビジョンを考えられない
・こういう世界を作れたらいいのになあ…!と思うことはあるけれども、その実現の方法が分からなくて悩んでいる
・会社や家族から言われたことをこなす日々で、「あれ、自分って何をしたかったのだっけ?」と、自分自身、何をしたかったのか、見えなくなってしまうことがある。

 これらは、いずれもビジョンがテーマになります。皆さん自身が何をしたいのか、もしくは会社が何をしたいのかという意思を、具体的にしたものがビジョンになるのですが、このビジョンというものが、当たり前のようにあるわけではありません。そういう中で、逆に自分がやりたいこと、もしくは自分たちが会社としてやるべきことのビジョンを起点に、いろんな人たちを、もしくは自分を動かしていく。そういうやり方をコンセプトにしたものが、「ビジョンドリブン(妄想駆動)」という言葉になります。

 いかにして、自らのビジョンを動力にして動いていくか。あるいは生きていくか。具体的に、ビジョンをどうつくって、どう具体的に形にしていくのか。これらのことについて紹介していきたいと思います。


●ビジョンのスタートは妄想から始まる


 では講座の目的です。

 ビジョンのスタートは個人の妄想から始まります。一人一人がまずやりたいことを見つめ、それを具体的に落とし込み、だんだんと解像度を上げていくことで、ビジョンが明確になり、より伝わりやすくなっていきます。その起点である、まずあなた自身がやりたいこと、見つけられるビジョンというものをどう創造していくのか。一人一人の構想を青写真として表現し、絵やストーリーにどう落とし込んでいけばいいのか。そのようなプロセスと、具体的なエクササイズの一部を、例として簡単に紹介したいと思います。

 本講座の対象者ですが、企業の現場で、新規事業をやっていたり、いわゆる変革(トランスフォーメーション)をやっていく中で、人と違う、あるいは他の会社と違う独自性の高い取り組み、事業をやりたい方や、自分のキャリアの中で自分のビジョンが見えなくなり、ワクワクする未来像を描きたい方です。そういう方が見ると、実際に「あ、こういう形で前に進めていけばいいんだ」ということが分かるのではないかと思っています。


●「戦略デザイナー」という仕事


 自己紹介ですが、改めて、佐宗邦威と申します。私は今、戦略デザインファームBIOTOPEの代表をしております。「戦略デザイナー」と名乗っておりますが、いわゆる戦略、例えば企業のビジョンやミッション、新しい新規事業のコンセプト、新規事業そのものを生んでいく会社の仕組みづくりなど、このようなテーマを実際に企業の方と一緒に伴走しながら、一緒にデザインをしていくという仕事をしています。

 もともとはP&Gのマーケティングからキャリアをスタートして、その後ソニーではクリエイティブセンターという、インハウスデザイナーの部署にいました。そして、実際にP&Gで学んだビジネスと、ソニーを経てイリノイ工科大学というシカゴのデザインスクールに留学して学んだことなどをもとに、未来を構想して形にしていくデザインと、それらを融合した領域をどうやって形にしていくかという取り組みをずっと行ってきています。

 実際に今、教鞭も取っています。大学院大学至善館では、社会イノベーションを志すMBAについて、また多摩美術大学では、TCLというプログラムがあるのですが、ビジネスマン向けのデザインプログラムということでそちらについて教えております。いずれもビジネスとデザインの間を往復して、少し曖昧で形にならない戦略を実際にデザインしていくという仕事をしています。

 今、簡単にお話をしましたけれども、BIOTOPEという会社は創業4年で、業界横断のトップ企業をはじめ、クライアント100社...
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