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絵の上手・下手は手の力よりもむしろ観察力の問題

ビジョン講座「直観と論理をつなぐ思考法」(6)ビジョンの解像度を上げる知覚力

佐宗邦威
戦略デザインファームBIOTOPE 代表
情報・テキスト
フワッとしたやりたいことを具体化していくために必要なのが知覚力だが、知覚力アップのポイントは、よく観察することによって、複雑なものを複雑なままに表現することだという。それはどういうことなのか。具体的に「知覚力」を鍛えるために有用な思考法、エクササイズについて論じていく。(全8話中第6話)
≪全文≫

●知覚力のポイントは複雑なものを複雑なまま表現すること


 次が知覚力になります。

 フワッとしたやりたいことを具体化していくのが知覚力になります。

 知覚力のポイントは、セザンヌの絵がここに描いてありますが、よく観察することによって、複雑なものを、複雑なままに、自分自身が感じてそれを表現することです。

 スライドの絵は、私が昔、自画像を描くワークショップに参加したときに、5日間のワークショプの前と後それぞれで描いた絵です。ワークショップに参加した前後でこれだけの絵のクオリティーの変化が出てくるということを、私自身が体験しました。

 ポイントは何かというと、実は絵が上手い下手というのは、手の力というよりも、観察する力だということです。物事をどれだけ詳しく、細部まで詳細に感じられているか、見ているか。そのようにして見ていくと、実は絵はより描けるようになります。


●イメージ脳で観るための方法


 いわゆる、左脳・右脳ということが世の中でいわれていますけれども、言語脳とイメージ脳、この中でもイメージ脳で詳細まで細かく見ていくという、モノの見方をすると、実は絵が描けるようになりますし、ビジョンの解像度もより上がるようになります。左脳は、さらっと上の方から全体を見る、鳥瞰するという、鳥の目のようなものですが、右脳、すなわちイメージ脳は、虫の目のようなもので、ズームアップして、細かいところを詳細に見ていくという特徴になります。

 このイメージ脳で観るための方法としては、スライドのような有名な絵を、反対にして、意味が分からなくなった状態で、その線を真似るなどがあります。

 また、スライドのような絵があったときに、花の形を描くような絵の描き方もあるのですけれども、外側を黒く鉛筆で全部塗って、外側の部分を消していく、これをネガスペースと言いますが、ここで結果的に残ったものが自分が描きたかったものである、こういう思考法も、実はイメージ脳の思考法です。

 スライドのような騙し絵においても、この真ん中の壺を見るという見方は左脳の見方ですけれども、外側のこの人と人とが向き合っているというのは、全体を見ないと見えてこない思考法で、こういうのもイメージ脳の思考法になります。

 日常に当たり前のように見えているスライドのようなコップなども、場所によって光の差がある、こういう差がどこにあるかと探していく、これも、イメージ脳のモノの見方です。

 スライドの表は、スタンフォード大学で提唱された「両利き思考」という思考法です。言語脳とイメージ脳、論理と直感、シンボルとビジュアル、分解と統合、客観と主観、デジタルとアナログ、白黒とカラーと、それぞれで頭の使い方のモードが違うとされます。

 このイメージ脳を見ていくことによって、より自分自身のイメージをうまく使うことができますし、自分のビジョンというものを一枚に落としていくという統合脳も、イメージを活性化していくとできるようになります。

 これまで、身体感覚、視覚、言語の話をしましたけれども、ビジョンも同じように、視覚、言語でまず考えて、具体的に考えていくとより良いのですが、基本的には言葉で表現されることが非常に多いと思います。

 ビジョンも、最後言葉で落とそうとすると、シンプルになりすぎて、自分が言いたいことがなかなか伝わらない、言葉に落としてしまうと伝わらないということになってしまう。言葉に落とす前に絵を入れていくというのが、非常に有効だと思います。

 これが、複雑なものを複雑なまま感じる技術です。


●ビジョンはラフなスケッチから始まる


 こういうビジョンは実際、ラフなスケッチから始まると言われています。トーマス・エジソンの蓄音機などです。スライドの右側の、パーソナルコンピューターの父と呼ばれたアラン・ケイのDynabookの構想も、全てこの手書きのノートにおけるスケッチから始まっています。

 実際にこの知覚を行う際には、皆さん自身がイメージした、もしもの、具体的なヒントになりそうな写真を、沢山町歩きをしながら探して、そういう写真をじっと見ていきながら、それを具体的に絵に落とし込んでいくというよ...
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