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現実性を考えてしまうという妄想力の課題をどう克服するか

ビジョン講座「直観と論理をつなぐ思考法」(5)動機にアクセスする妄想力

佐宗邦威
戦略デザインファームBIOTOPE 代表
概要・テキスト
ビジョン思考の4つのサイクル「妄想・知覚・組替・表現」のうち、今回は自分のうちから湧き出る動機にアクセスする妄想力をいかに鍛え、実践していくかを解説する。妄想力の課題は、私たちがついつい現実性を考えてしまうところにある。ではその課題をどう乗り越えて、思考を飛ばしていけるのか。VISION-DrivenとISSUE-Driven、指数関数的思考と線形思考の対比、Moonshotなど、重要な考え方を提示しながら論じていく。(全8話中第5話)
時間:11:51
収録日:2020/11/04
追加日:2020/12/21
≪全文≫

●妄想力の課題はついつい現実性を考えてしまうこと


 ではこれから、「妄想・知覚・組替・表現」の4つのステップについてそれぞれ紹介していきたいと思います。1個目が、自分の内から湧き出る動機にアクセスする妄想力です。

 妄想する力の課題は、私たちがついつい現実性を考えてしまうというところです。

 ここから思考をどう飛ばしていけるのかということなのですが、キーワードは妄想だと思います。妄想とは、自らがまず「やりたい」と心から思える原動力で、しかも今の段階では現実性がないものです。

 「それって単なる妄想なのだけどね…」みたいな言葉をよく日常で語ると思うのですが、私たちは日常生活の中であまり妄想について話さないですよね。特に、ビジネスの現場でそれを話すのは、比較的タブー視されていると思います。

 日本人はある種謙虚な生き物なので、ちゃんとできるという確信がないとなかなか話さないという特徴があります。私が海外に留学をしていた時、いろいろな世界のビジョナリーな人と会いました。彼らに共通した特徴は、将来こんなことできたら面白いよねという、いってみれば妄想レベルの話を日常会話でしているところでした。

 以前にU理論を提唱したMIT(マサチューセッツ工科大学)教授のオットー・シャーマン先生と話をした時に、以下のような話がありました。

 日本人は何重にも防御壁を張っているので、絶対に失敗しないことを言おうとする。そうすると、日本人がこれをやりたいと言ってきたものは、アメリカ人だと具体的にできる企画くらいに落とし込んでいるものが多い。そう言っていたのですが、その時、逆に私たちはもっと大きな構想を日常的に語ってもいいのだなと思いました。


●VISION-DrivenとISSUE-Drivenの違い


 時あたかも、こういう考え方が最近出てきています。VISION-DrivenとISSUE-Drivenです。これはそれぞれ、ある世の中の課題、つまりマイナスをゼロにする思考法(ISSUE-Driven)と、こういうような社会であったらいいなから逆算して、それをどう実現するといいか考える、ゼロとプラスのギャップを埋めるという思考法(VISION-Driven)です。

 スライドの下側(ISSUE-Driven)がいわゆるユーザ...
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