●情報の「カテゴリー化」を経て思考が始まる
こんにちは。鈴木宏昭です。今回、認知バイアスについてお話をしましたが、特にその中でも思考に焦点化して、思考におけるバイアスをご説明したいと思います。
これは左下に書いてある「認知バイアス入門」という番組を「10ミニッツTV」でつくりまして、そのときに詳しく説明したものなのですが、今回、認知というものがどういうものなのかということのイメージを持っていただくために簡単に説明します。
世界は情報を発信します。そうすると、そのうちの一部に私たちは注意を向けて、それを知覚します。そしてその情報の一部が記憶に行きます。ここで言っている記憶というのは、思い出という意味ではなくて、頭の中の作業場です。専門的にはワーキング・メモリーと言いますが、そこに送られます。そうすると、そこでいろいろな認知処理が進んでいきます。最初に行われるのは「カテゴリー化」です。目の前にあるものが発する情報で、目の前のものはマグカップだとか、ペットボトルだとか、マウスだと分かりますよね。これはカテゴリー化という心の働きによるのです。
そして、このカテゴリー化がなされると、そこから思考が始まります。思考は、目の前のものを見て、どういうことを行おうかというプランを立てたり、これからどういうことが起きるだろうかという予測をしたりといったことを行います。そして、いわゆる「考える」ということです。そしてある場合には、自分が考えた内容を、言語などを用いたコミュニケーションによって他者に伝え、そして他者と何か一緒に仕事や、作業をするということが起きたりするかもしれません。
この認知のいろいろな段階全てに「バイアス」と呼ばれるものが関係します。ここには代表的な、赤字で書いたものは代表的な認知バイアスと呼ばれるものなのです。今回はまず、思考におけるバイアス、特に「確証バイアス」というものに焦点を当てて説明して、その後、因果推論についても簡単に説明していきたいと思います。
●目的によって区別される思考の3タイプ
日常語では一言で「思考」といいますが、そこにはいろいろなタイプがあります。大まかに分けると、問題解決、意思決...