教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」
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ユダヤ人を巡る「陰謀論」の裏を読む…ロシア革命とユダヤ人
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(6)陰謀論とユダヤ人
鶴見太郎(東京大学大学院総合文化研究科 地域文化研究専攻 准教授)
ロシア革命はユダヤ人による革命!? そんな話も飛び交うように、ユダヤ人をめぐっては歴史的に多くの陰謀論が巻き起こってきた。陰謀論は、そのときの社会状況や人間としての性質にも関連してくるため、「隠されたメッセージを読み取ろう」という欲望はなかなか防げるものではない。では陰謀論にハマらないためにはどうしたらいいのだろうか。(全9話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:8分33秒
収録日:2025年12月5日
追加日:2026年4月27日
≪全文≫

●陰謀論は社会状況の変数


―― このあたりはユダヤ人を巡っても本当に多くの陰謀論があります。陰謀論に対してはどう考えればいいのですか。

鶴見 そうですね。だから、そういう意味では本当に昔からあったということなのです。それは本当に社会構造とか社会の状況の変数なのです。みんなが幸せなときは、そんなに陰謀論は起こりません。格差が広がると、自分はこんなに頑張っているのになぜなかなかお金が貯まらないのだとかになったとき、誰かがそれを全部くすねているからだろうみたいな発想は、いつの時代もおそらく起こるのです。

 実際、そういうことはまったくないというわけでもないかもしれない。たまにはそういうことがあるかもしれないのですけれど、そうすると少しそういうことがあったらもう全部がそうなのだと考えがちになってしまうという雰囲気が特に不況とか、格差が広がるときは、そういう不安が広がりがちだと思うのです。

 でも、それこそ陰謀は確証がなかなか取れないことなので、分からないからこそ想像はどんどん膨らんでいくので、ユダヤ人はそのときに陰謀を企んでいる側として、想像されてしまう側として、よく登場してしまうのです。

―― これは、(テンミニッツ・アカデミーに)ご登場いただいている、ある先生がおっしゃっていたのですけれど、その先生のご友人の、教養もあり社会的地位もある方が、何か知らないけれど陰謀論にハマってしまったということですが、そこで、ものの見方として、例えば1つの例としてユダヤ人の歴史を学ぶことの意味はすごくあるように、この本を読んで思いました。

鶴見 そうですね。ただ、なかなか陰謀論は根強いというか、例えばこの本を読んでも、「いや、そうは言っても」というのは、もう絶対出てくるのです。それこそ私が何か隠してそういうことを書かないのではないかとか。そういうことはいくらでも出てきてしまいます。


●「裏を読み取ろう」という意識と陰謀論


鶴見 何か物事の裏を読み取ろうという意識も、ある意味人類にたぶん普遍的なことなのかなというのはあります。実はユダヤ人自身も、何か隠されたメッセージを読み取ろうという流れはあるのです。この(本の)中で出てきたものでいうと、カバラーです。あるいはもう少し手前でいうと、神秘主義的なユダヤ教といわれるハシディズムという流れです。

 公式的なというか、正統...

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