【入門】日本仏教の名僧・名著~明恵編
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
法然の専修念仏を批判…明恵の「あるべきようは」とは?
【入門】日本仏教の名僧・名著~明恵編(1)批判精神と『夢記』
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
明恵は華厳宗の高僧で、法然を厳しく批判した『摧邪輪』で名高い。一方で、生涯書き続けた『夢記』は、世界にも珍しい著作として注目される。『夢記』からの例とともに『明恵上人遺訓』を参照しつつ、現代人にもヒントになる夢に対する姿勢、自己を見つめ省みる「阿留辺幾夜宇和」の思想をたどっていく。(全2話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分20秒
収録日:2020年9月30日
追加日:2021年10月22日
カテゴリー:
≪全文≫

●法然を厳しく批判した華厳密教者、明恵


―― 先生、今回は明恵のお話にまいりたいと思います。明恵は1173年から1232年の方ですので、法然より少し後輩といいますか、少し後に生まれた方ということになりますね。

賴住  そうですね。

―― この方はどのような方でございましょうか。

賴住 はい。明恵で一番有名なのは、『摧邪輪(ざいじゃりん)』などで法然を非常に厳しく批判したことではないかと思います。

―― 彼の浄土宗的な考え方を批判したということですね。

賴住 そうです。「専修念仏」は、自分としてはもう本当に許しがたい教えであるといって非常に厳しく批判したことで知られております。しかし明恵という方は決してそれだけの人ではなく、非常に豊かな世界をお持ちの方です。

 前回、法然のお話をするときに、「選択(せんちゃく)」ということがあると申し上げました。鎌倉仏教には一つの流れとして、ある一つの教えに集中していく方向があります。例えば道元の「只管打坐」、日蓮の「題目」、法然・親鸞の「専修念仏」などがあったとお話ししました。ところが、そのような流れと同時に、むしろ多くのものを総合して多様性を生かしていくような流れも一つありました。そちらの流れのもっとも典型的な方が、この明恵ではないかと思います。

 明恵の場合、基本的には華厳宗ということで知られていますが、華厳宗だけではなく坐禅も行う。禅とともに真言密教も取り入れていったことから、「厳密(ごんみつ。華厳密教)」という言われ方もしています。さまざまなものを取り入れて、大乗仏教として深めていったということがいえるのだと思います。

―― 当時の仏教界における一種の巨人といいますか、いろいろなものを総合的に体現されたようなタイプの方ということでしょうか。

賴住 そうですね。はい、そういう方になります。


●生涯書き続けた『夢記』の独自性と宗教性


賴住 また、明恵につきましては『夢記(ゆめのき)』というものがございまして、ご自身が見た夢を青年時代から晩年に至るまで、ずっと書き付けていかれています。

―― それはまた面白い話ですね。

賴住 はい。こういう例は世界でも非常に少ないそうで、大変貴重な記録として知られておりますし、まさに彼の宗教的な世界が夢の中に現われているともいわれて...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
集中のスイッチを入れる方法は意識からと身体からの2通り
為末大
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二

人気の講義ランキングTOP10
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
これから必要な人材と人材教育とは?(3)無謬性とジョブローテーション
もうゼネラリストを育てる人事制度では時代に対応できない
柳川範之
プロジェクトマネジメントの基本(10)大脳生理学によるモチベーション理論
論理的?計画的?社交的?冒険的?利き脳による4タイプ
大塚有希子
おもしろき『法華経』の世界(10)未来への智慧と希望
「未来応化=どんな未来も大丈夫」…ブレない臨機応変の力
鎌田東二
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
逆境に対峙する哲学(9)先人の知恵という友
本居宣長も白隠もハイデガーも友となる――大切なのは?
津崎良典
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(5)AIに記号接地は可能か
人間とAIの本質的な違いは?記号接地から迫る理解の本質
今井むつみ
聖徳太子「十七条憲法」を読む(1)十七条憲法を学ぶ現代的意義
聖徳太子の「和」は議論の重視…中華帝国への独立の気概
賴住光子
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二