印象派の解体と最後の印象派展
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
印象派を裏で支えたカイユボット…なぜ評価が低かったのか
印象派の解体と最後の印象派展(4)印象派の対立とカイユボットの存在
安井裕雄(三菱一号館美術館 上席学芸員)
ドガ派とモネ派の対立で、仲間内での不和が激しさを増していった印象派。印象派展では次第に印象派とは呼べない画家の出品も増えた中、ルノワールは代表作中の代表作と呼ばれる《舟遊びの人々の昼食》を最後に出品している。一方、内部の不和がありながらも印象派の画家たちを裏で支えた画家がいた。カイユボットである。なぜカイユボットはこれまで評価されなかったのか。ルノワールの最後の出品作品とともに解説する。(全5話中第4話)
時間:8分30秒
収録日:2023年12月28日
追加日:2026年3月20日
カテゴリー:
≪全文≫

●印象派内の対立と印象派展最後のルノワール作品


 ドガ派とモネ派といったらいいのでしょうか、印象派内での仲間内での不和は次第に回を追うごとにどんどん激しくなっていってしまいます。

 第7回の印象派展は、ドガが出品しなかったので、モネなど主流の印象派の作品が出品されることになるのですが、第8回の展覧会になると、印象派とはとても呼べないような画家たちの出品が多くなってきます。

 こちらはルノワールが最後に印象派展に出品したときの作品です。ワシントンのフィリップス・コレクションが所蔵している《舟遊びの人々の昼食》という作品で、ルノワールの代表作中の代表作といわれています。フィリップス・コレクションをつくったダンカン・フィリップスは、美術館の目玉となる作品としてこの作品を購入しています。

 フィリップスは不思議なコレクターで、ひょっとしたら、あまりルノワールのことを評価していなかったのでしょうか。というのは、フィリップス・コレクションの中で残された唯一の(ルノワール)作品がこの《舟遊びの人々の昼食》なのです。ルノワールの他の作品は買っていないと思いますし、現在でもフィリップス・コレクションにある唯一のルノワールの油彩作品です。

 ルノワールは第7回の印象派展のときにはすでにイタリア旅行も済ませていますので、この時点で印象派の画風から徐々に脱却するための糸口を探し始めていた頃です。そうはいっても、印象派の技法にとどまったまま、風景画もこういった“ラ・グルヌイエール”を彷彿とさせる空の表現、水面の表現で描いています。こういった作品を出品していました。

 これに対して、こちらは、ルノワールもセザンヌもモネもシスレーも出品していなかった第6回展にドガが出品した彫刻です。

 この踊り子があまりにも写実的な生々しい表現ということで、大変なスキャンダルを巻き起こすことになります。ドガは本当に多くの技法、素材に関心を向けていた画家です。晩年は視力が衰えて、ほとんど失明に近い状態にまでなってしまっていたといわれています。粘土をこねて、馬や踊り子の姿をかたどっていたことが知られています。


●評価が低かったカ...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
『古今和歌集』仮名序を読む(1)日本文化の原点となった「仮名序」
『古今和歌集』仮名序とは…日本文化の原点にして精華
渡部泰明
真山仁の小説論(1)想像力と技術の不足
読み手の琴線に触れる技術が失われてきている
真山仁
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
與那覇潤
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
バッハで学ぶクラシックの本質(1)リベラルアーツと音楽
音楽の父バッハ…なぜ「音楽」が西洋でリベラルアーツなのか?
樋口隆一
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子

人気の講義ランキングTOP10
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
戦国武将の経済学(3)豊臣秀吉の経済政策
豊臣秀吉の驚愕の国内貿易…莫大な財力を生んだ経済政策
小和田哲男
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
編集部ラジオ2026(31)鶴見太郎先生の「公開収録」のご案内
【公開収録のご案内】鶴見太郎先生:ユダヤ人と世界史…その歴史の教訓とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎