AIは一見それらしい回答を提示するが、実際には思考せず計算処理を行っているにすぎない。そのため、事実とは異なる情報を堂々と出力する危険性があり、人間側が真偽を判断できなければ情報の濁流に飲み込まれることとなる。さらに深刻なのは、大規模言語モデルが孕む構造的限界である。今後ネット上にAI生成の文章が増殖すれば、AIがAIの出力を学習する循環に陥り、バイアスが増幅され真実から遠ざかる恐れがある。第2話では、AIの利便性の裏に潜む本質的な危うさを指摘する。(全7話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
≪全文≫
●知的活動の場合、生成AIだからと真に受けるのはとても危険
―― その場合、まさに人間に必要なものを判断するとか、人間としての価値観に基いて仕事をする、あるいは決断するという部分で、リベラルアーツは非常に重要になってくると思います。
そのお話に入る前にお聞きしたいのですが、例えば、ある雑誌の編集長などにお話を聞くと、最近生成AIに「企画を30本考えてきて」と言うと、それっぽい企画を当然ながらいろいろ挙げてくる。今までですと、編集部員が集まって、今月何の企画がいいかということで、持ち寄ってやっていくということになると思うのですが、その案出し、企画出しの段階で、例えば部下が「AIを使って10本選んできました」というと、この部下の存在価値はどうなるのだろうと。
AIだけに聞いて、AIがこう言っていますと言って、企画を出してきただけの人は、何の仕事になっているのだろう、というようなことにもなってくると思います。人間の組織はどうなっていくのですか。上司一人だけでいいということになってしまうのですか。
橋爪 いろいろな考え方あると思います。まず生成AIは本当に役に立っているのかということがあります。
「授業のレポート書け」とか、「議事録をまとめなさい」とか、「こういう企画を何本出しなさい」とか、そういうものはできると思います。けれど、本当の本当の、事柄の本質を突き当てているかというと、(そうではない。)とにかく(AIは)考えていないのだから、計算しているだけだから――「頭のないオウム」と言っている人がいたけれど――オウム返しで何も考えていないのですね。でも、それっぽいわけです。そういうもので大丈夫かと。
(ちなみに)私は、自分のことを生成AIに聞いてみたことがある。
―― なるほど。
橋爪 「橋爪大三郎はどういう人ですか」と。それらしいことを言います。(でも)ここのところもう少し詳しく教えてください、というようなことでどんどん聞いていくと、ボロが出てくるわけです。私が行ったこともない大学で講師をしていたことになっていたり、それから、子どもがいるのだけれど、性別が違ったりと、あり得ないようなことをいろいろと教えてくれるわけです。本人だから、これはあり得ないと分かります。でも、本人でなければ、これが嘘、デタラメなのか、本当なのか、判断ができないわけです。
だから、知的な活...