AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
頭はみんなで共有できる…情報を頭の中に入れないと発見できない
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(5)ユークリッドとアルキメデス
橋爪大三郎(社会学者/東京工業大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
ユークリッドは多数の定理をより根源的な5つの公理へと集約し、体系化した。紀元前のことである。この思考のプロセスが共有されたことで、彼の頭の中身は2千年以上、人類共通の知の基盤となった。また、「アルキメデスの原理」という世紀の大発見がある。なぜ発見できたのか。そこに問題があったから、彼は知識を使い考え抜いた。だからこそ、外にある情報と結びついて生まれた新しい発見なのだ。情報はそのままでは何も生み出さないが、頭の中にある知識と結びつくと新しい体験や創造の源泉となる。(全7話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:9分20秒
収録日:2026年1月16日
追加日:2026年6月18日
≪全文≫

●ユークリッドの頭の中身が、みんなの頭の中身になった


―― 先生の「頭の中にあるものが教養で、外にあるものが情報だ」というところでいいますと、今、面白いお話が頭に浮かんだのですが、ある先生がおっしゃっていたことです。例えば、虫とか、鳥とか、葉っぱとか、花とか、昔はこれらを図鑑で調べなければいけなかった。(虫の)足がこうだとか、花びらがこうだと特徴をよく覚えて図鑑で調べてたら、「これはこの花だ」とか「これはこの虫だ」ということが分かる。

 そのようにしたものは、すごくよく頭に残る。(しかし)最近スマートフォンで写真をパシッと撮って画像検索すると、「これは何何という花」とか「これは何何という虫」と出てきてしまって、「これはこうなのね」とその場では分かるけれど、全然、頭に残らない。そういうことをおっしゃっている方がいました。

 「頭の中にあるものが教養で、外にあるのが情報」といったときに、頭の中にどう積み重ねていくか。結構難しいというか、どう考えるべきですか。

橋爪 頭はとりあえず自分のものです。でも、みんなのものなのです。頭は人々が共有できるものなのです。

 数学を例にしましょう。ユークリッドという人がいたとします。彼は数学が得意です。だからいろいろな過去の計算例や証明というものをもっぱら集めて、そういうものをいっぱい読んでいく。(だから)覚えている。よく知っているわけです。それだけだったら情報でしょう。でも、彼はその先を考える。(例えば)二等辺三角形の両底角が等しい。事実等しい。どんな二等辺三角形を書いてみてもそうです。なぜか。証明できるから。証明は、二等辺三角形の両底角が等しいということよりも、もっと基本的なことから出発して、それを結論として論理的に導くという作業です。いろいろなことが証明できる。だから正しい。

 さて、全ての正しい内容を証明して、これを一冊の本にしたら幾何学の本ができる。幾何学の本を書くとしたら、どうやって書けばいい? 証明されたものは定理です。証明された定理を使って別な定理を証明しても構わない。だから定理はどんどん増えていく。

 逆の方向にたどっていくと、定理はどんどん簡単な定理になっていって、最後は定理ではなく、ある前提から出発するのではないかということを考えたのです。これは彼が考えたから、初めてそのことが分かったのです。...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(1)精神分析の概念とその起源
なぜ心の病にかかるのか?ラカンの精神分析とその起源
斎藤環
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
世界の語り方、日本の語り方(1)なぜ「語り方」なのか
今後身に付けるべき知性として「新しい語り方」を考える
中島隆博
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
三日坊主、部屋が片付かない…なぜできないか行動分析学で考える
島宗理

人気の講義ランキングTOP10
知られざる「脳」の仕組み~脳研究の最前線(1)脳科学と「ミクロのマクロの隔たり」
脳が生きている、死んでいるとは?最新研究で迫る脳の秘密
毛内拡
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(1)精神分析の概念とその起源
なぜ心の病にかかるのか?ラカンの精神分析とその起源
斎藤環
ウェルビーイングを高めるDE&I(8)アンコンシャスバイアス:前編
バイアスの罠…8割直観と思考の「エコ運転」の自覚が大事
青島未佳
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊
編集部ラジオ2026(18)4種の「利き脳タイプ」分析
【10min解説】最終話に注目!4種の「利き脳タイプ」分析
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(4)情報と教養の違い
教養がおろそかな人の限界…「教養は頭の中に、情報は頭の外に」
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(8)AI時代の人間の価値
労働市場改革を妨げる労組や、不登校を救えぬ文科省こそが邪魔だ
宮本弘曉
飽食時代の「選食」のススメ(1)選食の提唱と「食の多様性」
肥満、認知症、低栄養…飽食の時代に大事な「選食力」3カ条
堀江重郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博