「教養」と「リベラルアーツ」の違いとテンミニッツTV
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
教養とリベラルアーツの違い…一般教養からWhy、Howへ
「教養」と「リベラルアーツ」の違いとテンミニッツTV
講演会終了後の質疑応答編で、リベラルアーツの本質についての質問に答える。日本における教養主義とは異なる考え方をアメリカから学ぶことで、新たな時代の教育理念を考える。(2020年2月15日開催・テンミニッツTV講演会「激動の世界情勢を読む――米中そして日本を中心に」より)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分48秒
収録日:2020年2月15日
追加日:2020年4月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●プロフェッショナルスクールではないのがリベラルアーツである


―― では質疑応答に入りたいと思います。頂いた質問のうち、今回のシリ―ズのお話に関連しなかったものについて、おうかがいしたいと思います。

 今回は、『現代のリベラルアーツとは何か:よりよく生きるための「知の力」』の出版記念の講演会でもありました。そのため、比較的リベラルアーツについてのご質問も頂いております。これについて両先生にお聞きしたいと思います。初めに、お孫さんがアメリカのリベラルアーツカレッジ(ポモナ・カレッジ)を卒業し、これからハーバードのロースクールに進まれるという方から、そのお孫さんのための質問です。

「リベラルアーツカレッジというアメリカ的なものには、どのような意義があるのか、ぜひ教えてください」

 これについて、曽根先生、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

曽根 リベラルアーツカレッジを卒業してから、ロースクールやメディカルスクール、ビジネススクールのようなプロフェッショナルスクールへ行くのは、非常に標準的です。しかもポモナ・カレッジは、西海岸で特別優秀なリベラルアーツカレッジなので、そこを卒業してハーバードのロースクールに進むという選択肢は、アメリカ人もうらやむ道だと思います。

 そうすると、ここで1つはっきりするのは、プロフェッショナルスクールではないのがリベラルアーツであるということです。では「リベラルアーツ」とは何なのでしょうか。日本だと、よく旧制高校を引き合いに出して、「デカンショのことだ」という人がいます。しかしそれは、リベラルアーツのごくごく一部分です。つまり、リベラルアーツとは、学問体系の初級を教えるということではなく、まず大学に入って頭を柔らかくして、ものの考え方、つまり質問の立て方や答え方を学び取ろうということです。


●問いの見つけ方、答えの探し方を学ぶ


曽根 そこで一番重要なのは、質問が出せるか、答えをどうやって組み立てるか、ということです。その際に必要であれば、いろいろな学問成果を利用することになります。

 また、大きな誤解は、ものを考えて、ある問題にたどり着くためには常に学問の初級、中級、上級にまで上り詰めなければならないという考えです。しかし例えば、中国問題は非常に重要ですが、私は中国の専門家ではありません。だから、中国の専...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
日本の財政と金融問題の現状(1)財政赤字の何が問題か
日本の財政は本当に悪いのか?将来世代と金利の問題に迫る
木下康司
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜