出口治明が語る「教養と日本の未来」
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教養とは「知識×考える力」である
出口治明が語る「教養と日本の未来」(2)「人・本・旅」
出口治明(立命館アジア太平洋大学(APU)学長特命補佐)
立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明氏は、知識と考える力を掛け合わせた教養こそ、現代日本に求められる能力である、と説く。サービス産業の時代である現代では、自ら考える能力が求められる。そのためには「人・本・旅」で自らを鍛える必要があり、大学こそその場所として最適である。(全3話中第2話)
時間:13分03秒
収録日:2018年2月23日
追加日:2018年5月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●知識×考える力=教養


 昨今、「リベラルアーツが大事。やはり教養を身に付けなければいけない」といった声をよく聞くようになりました。では「教養」とは何でしょうか。講演では聴衆の皆さんに次の質問を投げ掛けます。「おいしいご飯とまずいご飯、どちらを食べたいですか?」

 全員、美味しいご飯に手が上がります。美味しいご飯を因数分解するとどうなるでしょう。いろいろな材料を集めて上手にクッキングすればおいしいご飯が食べられます。「いろいろな材料×上手に調理をする」ことでおいしいご飯になると思います。

 次にもう1問、質問します。「おいしい生活とまずい生活、どちらがいいですか?」

 「おいしい人生とまずい人生」と言い換えてもいいですが、これも全員おいしい人生と答えます。同様に因数分解したらどうなるでしょうか。いろいろな材料に匹敵するのがいろいろな知識だと思います。またクッキングに対応するのは、考える力だと思います。いろいろなことを知っていることに、自分の頭、言葉で考える力を掛け合わせると、おいしい生活、おいしい人生につながると思います。言い換えれば、「知識×考える力」が教養であり、あるいはイノベーション、リテラシーといってもいいでしょう。


●製造業からサービス産業への日本社会の変化


 戦後の日本は、製造業の工場モデルが社会全般を引っ張ってきました。日本は見事に復興を果たしました。製造業の工場モデルで必要とされる人材はどういう人材でしょうか。それは、決められたことをきちんと守り、協調性が高く全体の空気を読み、黙々と長時間労働を厭わない労働者でした。なぜならば、製造業の工場モデルの付加価値の源泉は生産ラインにあるからです。

 生産ラインを止めてはいけません。例えばスティーブ・ジョブスのような人間が生産ラインの前に立ったらどうなるでしょうか。腕組みをして考え込み、生産ラインは止まってしまうでしょう。しかし、今やわが国の GDP を分析すると、製造業のウエイトは4分の1を割り込んでいます。サービス産業がこれからの経済を引っ張っていくことは疑いようがありません。


●「知識×考える力」がイノベーションになる


 サービス産業には生産ラインはありません。まさにジョブスのようにいろいろなことを考える人間が必要とされています。先ほど「知識×考える力」が教養であり、リテラシーであり、...

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