●立命館アジア太平洋大学(APU)の多様性
皆さん、こんにちは。立命館アジア太平洋大学学長の出口治明です。立命館アジア太平洋大学は普段、英語の頭文字を取りAPU(Asia Pacific University)と読んでいます。よろしくお願いします。
僕は大学卒業後、大企業で約30年働き、還暦の時にベンチャー企業であるライフネット生命(現ライフネット生命保険株式会社)を開業しました。それから10年、社長と会長をやりましたが、古希を迎えたので若い世代に委ねてライフネット生命を退きました。
2017年の秋に APU が日本で初めて大学の学長を公募しているという話を聞きました。僕は大学での経験がほとんどないため選ばれないと思っていましたが、選考委員会で推挙されたので2018年の1月から学長を務めています。引き受けた理由は、多様性です。選考委員会は、副学長をトップに教員5名、卒業生2名、職員代表2名の10名で構成されていますが、そのうち4名が外国人、3名が女性というダイバーシティに溢れたメンバーです。例えば、日本の大企業において指名・報酬委員会でこれほど多様性に溢れたメンバーを要しているところがあるでしょうか。このようなオープンな組織で学長を公募していることに惹かれました。
●「若者の国連」と壮大なビジョン
他にも2つ理由があります。1つは初めて APUを訪れた時、「若者の国連」だと思ったことです。 APU は約6000名の学生が学んでいますが、そのうち約3000名は90の国や地域から集まっています。まさに「若者の国連」と言うべき、多様性の最たる場所だと思いました。
もう1つの理由は、ビジョンの壮大さです。APU は2030年のビジョンを作っています。それは APU で学んだ人が世界の各地に散らばり、各々の持ち場を見つけて自分のやりたいことに挑戦し、APU で学んだことをベースに自ら行動して世界を変えていくというものです。国連はSDGs(持続可能な開発目標)に代表されるように2030年のビジョンを作っていますが、日本の企業でこのような壮大なビジョンを作るところがどれほどあるでしょうか。
以上の理由から、ユニークで面白い大学だと思い応募しました。まさか選ばれるとは思っていなかったのですが、選ばれた以上は全力を挙げてチャレンジしたいと思うようになりました。2018年1月から学長を務めていますが、90の国や地域からやって来た学生と語り合うのが楽しく、...