出口治明が語る「教養と日本の未来」
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女性の活躍と長時間労働の是正が必要な理由
出口治明が語る「教養と日本の未来」(3)働き方改革
経営ビジネス
出口治明(立命館アジア太平洋大学(APU)学長特命補佐)
日本経済の基盤が製造業モデルからサービス業へと変化した今日、必要となるものは何か。立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明氏は、「人・本・旅」というキーワードを挙げて、働き方改革のあるべき方向性を提示する。(全3話中第3話)
時間:7分25秒
収録日:2018年2月23日
追加日:2018年5月1日
≪全文≫

●アイデアを出すために働き方改革を


 次に働き方改革について、一言述べます。前回お話ししたように、日本は製造業の工場モデルが引っ張ってきた国です。製造業の基本は優れた生産ラインにあります。今でも最新鋭の工場では3交代で24時間操業しています。製造業の工場モデルが社会を引っ張る状態では、相対的に力が強い男性が長時間働くことが、一番効率良くなります。簡単にいうと、例えば朝8時から夜10時まで働き、「メシ・風呂・寝る」の生活を送るということです。そうであれば、性分業を行い、女性は家にいて男性をケアした方が社会全体としては効率性が高くなる。まさに戦後の日本は、そうして専業主婦層を作り出すことを通じ高度成長を成し遂げてきたのです。

 しかし、サービス産業には生産ラインはありません。付加価値の源泉は人間の脳以外にありません。まさにアイデアを出すことが勝負になります。そのためには「メシ・風呂・寝る」では不可能です。早く帰って「人・本・旅」でいろいろな刺激をもらわなければアイデアは出てきません。その意味で、長時間労働をやめて早く帰り、「メシ・風呂・寝る」の生活から「人・本・旅」の生活に切り替えることが、働き方改革の基本となります。


●「女性が輝く社会」のためには長時間労働の是正が喫緊の課題


 その理由として、もう一つ大きなことがあります。万国共通で、サービス産業のユーザーの6、7割が女性だとすると、そのような状況で供給サイドに女性が不足していれば、いいアイデアが出てくることはなかなかありません。日本経済を支えていると自負する50代、60代の男性に、女性の欲しいものが分かるでしょうか。欧米の先進国ではこの需給のミスマッチを正すために、例えば「クォーター制」という制度を設けています。一例を挙げれば、女性役員が4割いないと企業の上場取り消しといった強行法規によって需給のマッチングを図ろうとしています。

 日本はそこまで達しておらず、「女性が輝く社会」という、ある意味文学的な表現に止まっていますが、狙いは需給のマッチングです。女性が輝くためには男性が早く帰って家事や育児、介護などをシェアすることが大事です。この観点からも長時間労働を是正するということが喫緊の課題であるということが分かっていただけるでしょう。これが働き方改革の根底にある考え方だと思います。


●ヨーロッパとの比較か...


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