AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か
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AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(6)リベラルアーツの本質
橋爪大三郎(社会学者/東京工業大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
リベラルアーツとは、いわゆる普通教育の“プラスアルファ”である。例えば、高校の普通教育には試験があるから勉強するという要素がある。それも本人のためには大事なことだが、その上で鍵となるのが“プラスアルファ”の部分である。人生は多様だが一度きりだ。自分の人生を生きることしかできない。その中で自分自身の世界をどうやったら持つことができるか。それに答えるのがリベラルアーツなのである。(全7話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:6分35秒
収録日:2026年1月16日
追加日:2026年6月19日
≪全文≫

●リベラルアーツは普通教育の“プラスアルファ”


橋爪 普通教育というものがあるでしょう。高等学校がそうだとしたら、数学、勉強するでしょう。国語、勉強するでしょう。理科、勉強するでしょう。社会、勉強するでしょう。英語、勉強するでしょう。それ以外のことも勉強するでしょう。無関係でしょう。

 さて、全てのものは確実で、みんなが確かめて間違いがないということを教室で教えているわけです。

 そして大事です。原理原則を教えているわけです。だから、これは頭に入れる必要があるので、「頭に入りましたか」ということでペーパーテストをして、頭に入った証拠を確かめて、合格点ですとなる。なぜこんなことするかというと、本人のためになるからです。

―― なるほど。

橋爪 これをやらないと本人が困る。社会も困る。みんながそういう基礎的な知識を持っていると思うから、特定の文章を書くと意味が伝わると推測できる。実際に意味が伝わる。

―― そうですね。皆さんが「共有の基盤」として知を持っているということですね。

橋爪 つまり、高校生一人ひとりの頭の中身は彼・彼女のものなのだけれど、社会公共のものなのです。

 そして、そういうものをみんなが身につけることによって、大きな集合的な利益が生まれて、経済が動いたり、政治が動いたり、文化が動いたり、芸術を楽しんだりと、いろいろなメリットが生まれるのです。

 これが普通教育ですね。普通教育は無味乾燥で試験があるから勉強する、そういう要素があるでしょう。ちょっとは楽しいが、あんまり楽しくないでしょう。

 リベラルアーツは、高校の普通教育がそうなんだけれど、それの“プラスアルファ”なのです。

―― なるほど。その“アルファ”が大切そうですね。

橋爪 例えば、レストランに行って、定食というみんなが食べるメニューだって、ホッケ定食だったら、ホッケがあって、大根おろしがあって、味噌汁があって、たくあんがあって(という感じで)、さて「今日のサービスです」というものがあって、アラカルトで「この4つから選んでください」とあると、ちょっと嬉しいでしょう。つまり、高校の決まった定食メニューに載っていないけれど、「なお、ご飯が充実します」というようなものは他にもある。時間といろいろなエネルギーの関係で省略されているけれど、“プラスアルファ”があるわけです。それは、より...

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