少子高齢化で人口が減少する日本において経済成長を実現させる鍵となるのが、労働力・生産性・資本という「3つの源泉」である。中でも労働力に関しては、高齢者や女性など潜在的余地のある人材を生かすことが求められる。また、生産性の向上に関しては、大事なことが2つある。1つは、政府の過度な企業支援をやめて、「人、お金、モノ」を循環させること。もう1つは規制緩和である。具体的事例を挙げて、その重要性について解説する。(2026年4月25日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全7話中第6話)
※司会:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
≪全文≫
●労働力活性化へ潜在的に増やす余地がある――高齢者、女性、外国人
宮本 「そんな漠然としたことを言われても困る」「もっと具体的なことを教えてほしい」ということで、もう少し考えていきましょう。労働力、生産性、資本から、どんなことが考えられるのかをご説明したいと思います。
まず労働力です。先ほど少子高齢化というお話がありましたけれど、人口が減っていく中では、労働力もおのずと縮小してしまいます。ですから、人口減少下で労働力を増やすのは、実はそんなに容易な話ではありません。
ただ、日本にはまだ潜在的に増やす余地がある労働力もあります。例えば高齢者(シニア)の雇用、それから女性の雇用。さらに、いろいろと議論はありますが、外国人労働者の雇用です。どこにターゲットを絞るかは議論がありますが、これらはまだ増やす余地があります。
高齢者雇用に関して、重要な情報があります。去年(2025年)、国際通貨基金(IMF)があるレポートを出しました。日本語で「健康な高齢化」というタイトルのものです。
そのメッセージは何かというと、2022年時点の70代の方の認知能力や健康スコアが、20年前の50代と変わらないということです。年齢でいうと、マイナス20歳して考えてください、というのがIMFのメッセージです。70代の方はまだ50代、40代の方は20代というイメージです。つまりシニアの方は、まだまだ活躍できるし、むしろ日本経済にとって非常に重要な存在なのです。
ただし、高齢者の方、あるいは女性の方、外国人労働者の方が、日本で本当に働きやすいかといえば、そこには疑問が残ります。働きたいと思っている、能力もある、でも働きにくい。ここが問題なのです。労働市場のあり方を変えなければ、せっかく潜在的な労働力があっても、十分に活かせません。これがこの国の状況です。
●「経済は人間の体と同じ」だから新陳代謝が不可欠
宮本 2つ目は生産性の向上です。何をすればよいかというと、厳しい言い方になりますが、低生産性の企業や低賃金の企業を温存しないことが重要です。これは、政府のお金で過度に支援しないということです。もちろん、民間企業で一生懸命に努力をされている場合には問題ありません。一時的に業績が悪くなることもあります。それ自体が問題なのではありません。問題は、業績が悪く...