『オデュッセイア』は全部で24書に分かれているが、その中で物語構造として特に注目すべき点が「3」という数字にある。3つのエピソードが一括りとなり、3つ目が一番おもしろくなるように順番が構成されているのだ。また、複数の場面を切り替えて描く「多元進行」もこの物語をよりおもしろくしているテクニックといえるだろう。さらに、変装して帰還した主人公オデュッセウスを誰よりも先に動物が見破るという展開は、インドの大叙事詩『マハーバーラタ』に収められた「ナラ王物語」と大きく共通している点に着目する。ギリシアとインドの物語が共通の起源を持つ可能性を提示し、神話構造の秘密と深遠な魅力を解き明かしていく。(全9話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
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●24書の物語――3つのエピソードをどう構成するか
―― インド神話との共通性という話がありましたけれど、ここでもいろいろ「神話の構造」のお話になってこようかと思いますけれど、その他にご本(「『オデュッセイア』入門」)の中でお話になっているのは、先ほどの折り返し構造、(つまり)真ん中を軸にして話が対応しているというところに合わせて、「多元進行」、(つまり)複数の空間と時間が同時に進行していくという場合があるというところ、あるいは次々に課題、難題がやってきて、それを解決していくというところ。
あと、これは物語の括りにもよるのでしょうけれど、だいたい一つの部というか、そこに3つほどのエピソードが入っていて、3つ目が一番おもしろくなるように構成してあるという話など、いろいろありましたが、このあたりについてご説明いただけますか。
松村 どれからお話をしましょうかねえ。最後におっしゃった「3つ目でクライマックスに持っていく」というのは、昔話でもけっこうよく使われているテクニックだと思います。つまり、なぜか3人兄弟の話が多いのです。長男と次男は大体ダメで、失敗するのです。3番目の末っ子が成功するという話が多い。グリム童話を見てもそうですし、日本の昔話もそうです。
もし1人目で成功してしまったら、話は成り立たないですよね。威張っている上の長男と次男が「俺はできるよ」とやってもダメで、3番目(末っ子)がうまくいくというように、話の語りのリズムはいろいろな分野であるし、それが物語をおもしろくする一つのやり方だと思うのです。
そう考えると、『オデュッセイア』の中でも、似たようなことをやっぱりやっているのです。その話を少しさせてください。
『オデュッセイア』は全部で24書に分かれています。この数はおそらく偶然ではなくて選ばれているのです。一つ目の理由ですが、皆さん、アルファとか、ベータとか、オミクロンとか、オメガとか、ガンマ線とか、そういった言葉を聞かれたことがあると思います。これらは全部、ギリシア文字の名前です。いくつあるかというと、24です。だから、初めから終わりまで、(例えば)「アルファからオメガまで」という言い方もするし、英語なら「A to Z」という言い方をしますけれど、一つの世界を構成する物語を作るのに24にしようという考え方があったのです。
なぜならば、『オデュッセ...