徳川家康と貞観政要
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
盤石の四天王、質問力、仁と義…長期政権の要諦とは
第2話へ進む
『貞観政要』とはいかなる書か?家康は何を学んだのか?
徳川家康と貞観政要(1)徳川家康が太宗から学んだ治世の要諦
田口佳史(東洋思想研究家)
『貞観政要』は唐の2代目皇帝、太宗の言行録である。日本でも古くから多くの人々に読まれており、特に徳川家康はこの『貞観政要』に学んだものを、江戸時代の治政に数多く活かしたことでも知られている。さらに現代においては、世界が激動の波に揉まれ、先が見通せない状況が続いている中で、今こそ『貞観政要』から学んで生かせるものは何か、これから9話にわたって東洋思想研究家・田口佳史氏が行う講義の第1話目である。(全9話中第1話)
時間:15分44秒
収録日:2020年1月11日
追加日:2023年3月12日
≪全文≫

●徳川家康が第一に学んだのは文治政治への転換


 これから第一回ですが、ちょうど日本のある種、近世というものを導入した主役が家康で、これは今、世界的にも著しく成功したというケースになっているような名転換期を演出したのが、これから読む家康です。さらにその家康が何にすがって、何を基本として学び、その近世への転換をうまく実現したのかといえば、これはもう、『貞観政要』の他にはありません。『貞観政要』を読んでいたわけです。

 では、家康は『貞観政要』から何を学んだのかというお問い合わせに、あらかじめ答えておこうと思います。まず『貞観政要』から家康が学んだ第一としては、武断政治から文治政治への転換です。要するに、家康のすごさというのは、もう戦争で事を決着する時代ではないということです。これは何といっても、頭脳の勝負で、戦略の勝負、人格・教養の勝負の時代にならなければいけないと、このように思ったということです。

 家康から考えて、戦国時代とはいつからになるかというと、これは応仁の乱からといわれています。ですから、1467年からとなります。1467年から、どこまでが戦国時代なのかというと、いろいろな説がありますけれど、大方の歴史家でコンセンサスが取れているのが、足利義昭という人が織田信長に追われて、「もう室町政権はなくなりました」と言って白旗を揚げた、そのときまでなのです。これが、1573年。この間が110年ぐらいですね。

 つまり同じ状況で110年間、ずっと戦国時代でした。その後、信長が立ったといいながらも、信長は全国統一をしきれず、それから豊臣秀吉が立ってもそれをしきれなかったのです。したがって、自分こそが唐に倣(なら)って、300年の長期政権をつくらなければいけないということで、まず家康が学んだのが、武断政治によって文治政治に変わるということです。

 それから2つ目です。鯛は頭から腐るというように、古今東西の歴史を眺めてみても、敗れた国家には共通項が1つあります。いろいろなケースがありますが、1つ必ず敗れる原因というのがあるのです。これはトップがだんだん、傲慢、安逸になってくるのです。うまくいけば、うまくいくほど。不思議ですね。

 トップの要注意点ということを、家康は本当にこれをよく知っていたし、それから代々の将軍すべてに、これは言い置いておかなければいけないという御法度です。...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(1)ニューリベラリズムへの異議
ハーバート・スペンサーとダイシー…20世紀の危機の予言者
柿埜真吾
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介

人気の講義ランキングTOP10
伊福部昭で語る日本・西洋・近代(1)チェレプニン賞に輝いた無名の作曲家
映画『ゴジラ』の作曲家・伊福部昭が直面した「日本と東洋と西洋」そして「近代の超克」
片山杜秀
編集部ラジオ2026(38)アメリカ中間選挙と民主主義
【10min解説】第2期のトランプ大統領と中間選挙を考える
テンミニッツ・アカデミー編集部
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(3)「覚り」とは?「空」とは?
「覚り」「因果」「空」とはどういうものか…仏教の本質と変遷
橋爪大三郎
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦