徳川家康と貞観政要
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
トップの徳が見られている…本心を表明し良臣と心を1つに
徳川家康と貞観政要(9)君臣の関係と「十思」の教え
田口佳史(東洋思想研究家)
太宗が全幅の信頼を寄せていた臣下に生じた疑惑から始まる今回の講義。指導者にとって非常に参考にしたいテーマである。会社組織において幹部社員の育成と管理はトップにとって重要課題である。そこで最初に念頭に置くべきことは、上に立つ者は常に人間としての徳を社員に見られているということである。最後に、トップとして持っておきたい君子の心得十か条「十思」について解説する。(全9話中第9話)
時間:17分10秒
収録日:2020年1月11日
追加日:2023年5月7日
≪全文≫

●少しの利益のために大義を捨ててはいけない


 次へいきます。ここで「臣竊(ひそ)かに聞く」、つまり魏徴がこう言います。謹んで私が聞いているところを申し上げると、「天の輔(たす)くる所の者は仁」、人徳のある人は天が必ず助けます。「人の助くる所の者は信」、つまり国民とか、あるいは取引先とか、関係者、社員が助ける経営者というのは、まさに誠実な人であり、信がある人だということです。

 ここで、「仁」と「信」ということを挙げています。信というのは義だと思っていただいていいでしょう。義を尽くしていくことで信頼感が生まれるわけです。ですから、仁と義によって、結果的に信頼が生まれるというものなのです。

 「今、陛下、初めて大宝に膺(あた)り」とは、天子の位に立ったときに、「億兆」というのは万民のことで、今度の天子、つまり前の隋の煬帝は徳も何もないトップだったが、今度のトップはどうなのだろうと言って、「億兆、徳を観る」となります。ここで何を見ているのかといえば、あなたの徳を見ているのですと言っています。つまり、トップの徳を見るのが社員なのです。

 そして「始めて大号を発し」ですが、要するに免税、減税、税を免ずると言って、みんなを喜ばせたのですが、「始めて大号」を出します。これは、みんなが喜んでいると、前にもあったように、すでに納めた人も納め続けてくれというわけです。

 「二言有り」です。「武士に二言なし」というあの二言です。「八表」というのは、遠い国の果てまで疑い心が生じてしまったという意味です。「四時の大信を失ふ」は、春が来れば夏、夏が来れば秋、秋が来れば冬というものが、突然春の次に冬が来てしまったような、そのような疑いを持たれてしまったということです。

 そして「縦(たと)ひ国家、倒県の急有り」は、たとえ国家がもう倒れるかもしれないという大危機のときでも、「猶(な)ほ必ず不可なり」で、それをやっては駄目だということです。多くの人に不信がられるとか、トップの言っていることはまともに聞かないほうがいいと思われたりすることは、「不可なり」、やってはいけないと言っています。

 「況(いわ)んや」、今この国は、「泰山の安きを以てして」、安泰で何の懸念もないというときに、なぜこのような馬鹿げた...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(3)医療の大転換と日本の可能性
近代医学はもはや賞味期限…日本が担うべき新しい医療へ
鎌田東二
AIとデジタル時代の経営論(6)暗黙知と判断力
AIは「暗黙知・常識に基づく高度な判断」が不得意
一條和生
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎