徳川家康と貞観政要
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トップの徳が見られている…本心を表明し良臣と心を1つに
徳川家康と貞観政要(9)君臣の関係と「十思」の教え
哲学と生き方
田口佳史(東洋思想研究家)
太宗が全幅の信頼を寄せていた臣下に生じた疑惑から始まる今回の講義。指導者にとって非常に参考にしたいテーマである。会社組織において幹部社員の育成と管理はトップにとって重要課題である。そこで最初に念頭に置くべきことは、上に立つ者は常に人間としての徳を社員に見られているということである。最後に、トップとして持っておきたい君子の心得十か条「十思」について解説する。(全9話中第9話)
時間:17分10秒
収録日:2020年1月11日
追加日:2023年5月7日
≪全文≫

●少しの利益のために大義を捨ててはいけない


 次へいきます。ここで「臣竊(ひそ)かに聞く」、つまり魏徴がこう言います。謹んで私が聞いているところを申し上げると、「天の輔(たす)くる所の者は仁」、人徳のある人は天が必ず助けます。「人の助くる所の者は信」、つまり国民とか、あるいは取引先とか、関係者、社員が助ける経営者というのは、まさに誠実な人であり、信がある人だということです。

 ここで、「仁」と「信」ということを挙げています。信というのは義だと思っていただいていいでしょう。義を尽くしていくことで信頼感が生まれるわけです。ですから、仁と義によって、結果的に信頼が生まれるというものなのです。

 「今、陛下、初めて大宝に膺(あた)り」とは、天子の位に立ったときに、「億兆」というのは万民のことで、今度の天子、つまり前の隋の煬帝は徳も何もないトップだったが、今度のトップはどうなのだろうと言って、「億兆、徳を観る」となります。ここで何を見ているのかといえば、あなたの徳を見ているのですと言っています。つまり、トップの徳を見るのが社員なのです。

 そして「始めて大号を発し」ですが、要するに免税、減税、税を免ずると言って、みんなを喜ばせたのですが、「始めて大号」を出します。これは、みんなが喜んでいると、前にもあったように、すでに納めた人も納め続けてくれというわけです。

 「二言有り」です。「武士に二言なし」というあの二言です。「八表」というのは、遠い国の果てまで疑い心が生じてしまったという意味です。「四時の大信を失ふ」は、春が来れば夏、夏が来れば秋、秋が来れば冬というものが、突然春の次に冬が来てしまったような、そのような疑いを持たれてしまったということです。

 そして「縦(たと)ひ国家、倒県の急有り」は、たとえ国家がもう倒れるかもしれないという大危機のときでも、「猶(な)ほ必ず不可なり」で、それをやっては駄目だということです。多くの人に不信がられるとか、トップの言っていることはまともに聞かないほうがいいと思われたりすることは、「不可なり」、やってはいけないと言っています。

 「況(いわ)んや」、今この国は、「泰山の安きを以てして」、安泰で何の懸念もないというときに、なぜこのような馬鹿げた...

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