徳川家康と貞観政要
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
教育のトップを変えず幼年教育も徹底…学び重視の見事さ
徳川家康と貞観政要(4)学問第一と江戸の幼年教育
田口佳史(東洋思想研究家)
武断政治から文治政治に転換して「学問を第一」とした唐の太宗に倣い、徳川家康は学問所の創設に尽力し、その後、幕末まで教育のトップを変えることはなかった。そのおかげもあり、江戸の幼年教育はとても充実していた。3歳から素読を始め、藩校や寺子屋に通い、四書五経を学ぶ子どもたち。そうして共通の教養を身につけた日本の教育レベルは世界でもトップクラスだった。(全9話中第4話)
時間:12分04秒
収録日:2020年1月11日
追加日:2023年4月2日
≪全文≫

●あえて後見役を選択した理想の政治家


 もう1つやったことがあります。その学校が文治政治に対応したということに関するものです。それが次の第二章です。

 「貞観二年」ですから、太宗が就任して2年目で、「詔(みことのり)して」、詔勅を出して、「周公を先聖と為すを停(とど)め、始めて孔子の廟堂を国学に立て」とあります。これまでは、周公という人がシンボルとして存在していました。

 周公はどのような人かをいう前に、周王朝が文王、武王の時、これを「文武両道」と言いますが、文王、武王という親子、特に武王によって周王朝ができます。孔子はまず一番に周王朝を理想としました。しかし、武王は長年の苦労が祟って、国家を建設した後すぐに亡くなってしまいます。

 そうすると、(文王の)次男が武王、四男が周公旦(しゅうこうたん)という人ですから、それで武王の次の地位に立つことになるのですが、いろんな弊害が起こります。そのようなことから、周公旦は、武王の息子を次の帝王に立て、自分は後ろにいて、後見役という立場で政治を見ていきます。周公という人は、そういう政治家なのです。理想の政治家です。

 ですから、太宗の前のお父さんである李淵(りえん)という人は、政治家ということを第一義に考えました。ところが、太宗は、文治政治にして学問を第一にするというわけですから、やはり学問のトップを据えなければいけないということで、「始めて孔子の廟堂を国学に立て」というように、孔子廟をつくります。今、横浜の中華街に行くと関帝廟というものがありますが、あのような廟です。つまり、お墓です。

 そのようなものを建てて、「旧典に稽式(けいしき)し」、つまり伝統の古いしきたりを調べて、きちんとそれを実行するわけです。そして、「仲尼(ちゅうじ)」というのは孔子の本名ですから、「仲尼を以て先聖と為し」、すなわち(孔子を)まずトップの聖人とします。「顔子」というのは、孔子が一番愛した顔回です。一番出来のいい「顔回を先師と為し」というように、聖人のシンボルとして孔子、それから教えるほうのシンボルとして顔回、この2人を新たなシンボルに変えたのです。


●教育のトップを変えなかった徳川家康の意図


 このシンボリックなものを変えるということも、何に力に入れているかということがよく分かるわけ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
現代の小児科学と最高の子育て(1)現代の小児科学の役割
困難の克服と幸せな人生の獲得、それが小児科学の目的
高橋孝雄
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
人生に活かす東洋思想(1)人生の成功とは何か
東洋思想の「徳」や「道」をわかりやすくいうと?
田口佳史
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(37)長谷川眞理子先生の公開収録!
【アンケート&公開収録】長谷川眞理子先生:男と女でどう違う?能力の高め方
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(2)タタールのくびきと「第三のローマ」
なぜロシアが「第三のローマ」なのか?…東ローマ帝国とモンゴル帝国の根深い影響を探る
上月豊久
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
江戸とローマ~日本酒とワイン(2)ローマの酒文化とファストフード
ポンペイのファストフード店、遺跡が物語るローマの酒文化
本村凌二