現在の日本経済を読み解く最重要キーワードはAIと長寿化である。AIは一見、若者向けの技術と思われがちだが、実は長年培った知識や経験を持つシニア層こそ親和性が高いと宮本氏は説く。AIが提示する回答の成否を評価・判断する局面において、生きた「経験と知識」が不可欠になるからだ。さらに、長寿化によって活躍できる期間が延び、便利なテクノロジーが登場した現代は、まさにシニアが活躍できる時代である。後半の質疑応答では、金利や破綻などについての質問に答えながらシリーズ講義を締めくくる。(2026年4月25日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全7話中第7話)
※司会:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
≪全文≫
●日本経済を考えるキーワードは「AIと長寿化」
宮本 今、日本経済を考える上で重要なキーワードは長寿化とAIです。
ポイントは、人生が長くなったことです。人生が長くなれば、活躍できる時間、働く期間も長くなります。先ほども申しあげたとおり、IMFのレポートでは、健康な高齢者が増えているとされています。まだまだ、これからなのです。70代の方は50代、60代の方は40代ということですから。
もう一つのポイントは、AIという新しい技術が入ってきたことです。AIと聞くと、若手のほうが得意な技術だと思われる方がいらっしゃるかもしれません。「デジタルネイティブ」という言葉があります。生まれたときからスマホがある、タブレットがある。そうすると、たしかにスマホやタブレットなどの操作は若者のほうが得意かもしれません。
しかし、AIは少し違います。AIは――皆さんが使われていたら分かると思いますが――話しかけたら応答してくれます。必ずしも難しい入力は必要ではありません。ボタンを押して話しかければ、答えてくれます。
ここからがポイントです。AIに質問をすると、答えを返してくれます。その答えに対して評価をすることが、AI時代には非常に重要になります。AIが出してくる答えは正しいのか正しくないのか。その答えを使ってよいのか、使ってはいけないのか。例えば、組織や経営の意思決定に使えるのかどうか。その判断が人間に求められます。
判断をするときに必要なのは、経験と知識です。若い方は、まだ長く働いた経験がありません。一方で、シニアの方は長く働いた経験があります。だから、AIが出してきた答えに対して、「これはちょっと違うのではないか」と違和感を覚えることができます。そこで、もう1度AIに聞いてみる。すると、「あなたの言うとおりですね」「おっしゃるとおりです」と言って、AIが違った答えを出してくることもあります。私もその経験があります。
つまり、AI時代は、実は年配の方のほうが、親和性が高い面もあるのです。これは強調しておきたいと思います。寿命が長くなり、AIという大変便利な新しいテクノロジーが出てきました。そうすると、シニアの方はものすごく活躍できる。ぜひ活躍していただきたい。そういう時代が来ているということです。
●高齢化、金利、破綻…日本はどうなっているのか
―― ありがとうございました。ここで、質問を2...