●画期的な汎用性を持つ生成AIの可能性が国家や企業で探究されている
―― 実際にマイクロソフトの製品にAIが導入されるとどうなるかということを、いろいろな形でお話しいただきました。実際どういうことができそうかというのは、これでだいたいイメージが立ったかと思うのですけれども、メリットとしてどういうことがあるのかと思うのです。そこをぜひお話をお訊きできればと思います。
渡辺 わかりました。AIを組み込んでいくことのメリットの部分ですね。ではお話をさせていただこうかと思います。
今までの話の一部リキャップ(要約)になっているところもあるのですけれども、従来、使えていたAIというのは、比較的1つの要素に特化した、たとえば碁を打つなどの、目的に特化したモデルだったものでした。しかし、昨今の生成AIというのは、人間の英知を全部入れていますというふうに言いましたけれども、かなりさまざまな用途、それから人間の言葉そのものでもって使える、非常に汎用性の高いAIになっているということになります。
これを実現したことによって、相当大きなインパクトが考えられて、前回(第4話)のCopilotのデモで皆さんも想像力をかなり刺激していただけたのではないかと思いますけれども、大きな反響をいただいています。
1つには、国家レベルでいろいろな議論がされています。日本政府も、生成AIをどのように使っていくべきであるのか、政府自体が使っていくべきであるのかということを考えていますし、国内の企業、組織、学術機関等にどういう形で使っていってもらうべきなのかという議論を非常に活発に行っています。
それから、多くは企業です。利益を追求するタイプの企業が、生成AIを自社に導入して、生産性を向上するということであったり、その企業の顧客に対して提供する付加価値を上げるということが、どうやったらできるのかに、熱心に取り組んでいただいているのかなというふうに思います。
それから、3つ目の要素としては「プロンプトエンジニアリング」ということがあります。これは、ぜひ今回の講義の参考としてご記憶いただければと思うのですが、「プロンプト」というのは生成AIに対して与える、多くは人間の言葉で書かれたインプットということになりますので、いかに効果的なプロンプトを書くかということが、AIから正しく、より有益なアウトプットを得ることに...