●AIの導入で一変するマイクロソフト製品
―― いま、どういう形で技術が発展してきたかというのが大変よくわかりましたけれども、そのようなものが、生成AIの力でいろいろなものを、まさに人間が描くように表現できるようになったということで、仕事がどう変わっていくかということを次にぜひお話しいただければと思います。マイクロソフトの製品といえば、世界でユーザー数がどのくらいいるのかというくらい、ほとんど標準的に世界中で使われているソフトになるかと思うのですけれども。
渡辺 そうですね。
―― これが変わっていくことのインパクトというのは大きいですよね。
渡辺 そうですね。大きいと思います。
―― そこはどのようにお考えですか。これでガラリと、たとえば仕事が変わっていくとか、そういうイメージになるわけですか。
渡辺 そうですね。かなり大きく変わるのではないかと思っていて、まさにそれを2つ目のトピックとしてお話をさせていただこうと思っております。Office製品にAIが組み込まれると、仕事というのはどのように変わるのかというお話をさせていただきます。
また、サティア・ナデラが登場しましたけれども、今年に入りましてサティアはマイクロソフトのあらゆる製品に、これを一変させるようなAI機能を搭載していくということを発表しています。マイクロソフトの製品というといろいろありますけれども、大きくは“Microsoft 365”という名称に今はなっていますけれども、伝統的な言葉ですと「Office製品」でしょうか。
―― Wordとか、PowerPointとか、そういうものですね。
渡辺 おっしゃる通りです。Word、Excel、PowerPoint。最近はOutlookでメールやスケジュール管理、Teamsという電子会議なんかにお使いいただくシステムも入っていますけれども、これらをパッケージ化したものがMicrosoft 365です。
それからマイクロソフトといえばWindowsでしょうか。“Windows Operating System”ですけれども、ここにもCopilotというものを取り込んでいくということを考えています。
●Word…数秒で高度な要求に応える文書作成能力
では、Copilotとは何なのかということになろうかと思いますけれども、またここで言語モデルです。“Large Language Model”を利用することによってかなり複雑なタスクをアシストしてくれるアプリケーションです。日本語では「副操縦士」という言葉をCopilotに当てて、皆さまとお話をしている最中になります。
では、そのCopilotとはどんなものなのかということになろうかと思うので、少しイメージをお伝えできるように、画面を切り替えまして、デモをご覧いただこうかと思います。
早速ですが、WordのところでCopilot、つまり副操縦士がいるとどういう仕事のしかたになるのかということを少しお話ししようと思います。
チャット形式でWordの文章の中に何か出ましたので、ここにこのユーザーは、メモや社内文章を元に、お客様に出せるような提案書を作ってくれという指示を与えたのです。そうすると、ものの2、3秒でしょうか。
―― 今、出たのがもうそうだということなのですね。
渡辺 そうなのです。少し速過ぎて追いつかないかもしれないですけれど、文章を生成してくれました。
これに対して、以前、別のプロジェクトで使った提案書のフォーマットを活用して、それから、別にあるPowerPointのファイルから画像を取り込んで、もう少しビジュアルな形にして、というふうな指示をしているのですけれども、これも話が追いつかないくらい速いのですけれど、やってくれます。
先ほど、冒頭部にアブストラクト(要約文)を5行くらい足していたのですけれど、それを入れておくようにと指示しています。さらにFAQ(よくいただく質問)というものを最後に付けておいてくれという指示を、横の部分にあるチャットでしているのですけれども、すべて、だいたい2、3秒で対応してくれて、ここまでの文章が完成するのに1分くらいだったかと思います。
―― そうですね。
渡辺 これくらいの感じです。これまでであればアシスタントの方ですとか、スタッフの方にこういう依頼をしていると思うのですけれども、それを秒単位のレスポンスでやってくれているというのがCopilotの使われ方になります。
これをプロンプトと言うのですけれども、そのプロンプトという箱の中に「こういう作業をやってね」という依頼を出して、やります。「叩き台を2ページで作ってくれ」であるとか、「もっと簡潔な形に表現し直してくれ」というのは、けっこう高度な要求になるのです。
―― そうですね。おっしゃる通り。
渡辺 あと大まかな骨子から1ページ分のドラフトを作ってくれというような、少し考えないとできないような作業も入ってきています。
―― これは逆に増やすほう...