デジタルトランスフォーメーション
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
リアルエコノミーにICT技術をどう活用するか
デジタルトランスフォーメーション(1)製造業の場合
伊藤元重(東京大学名誉教授)
技術革新の加速度的スピードを少しでも取りこめれば、社会も企業も大きな変化を起こせる。現に、リアルエコノミーはデジタルトランスフォーメーションによって変化し始めている。今回は、AIやICTの活用により、需要起点のソリューションを発想することで新たなビジネスモデルを獲得した製造業の事例を解説する。(全2話中第1話)
時間:12分36秒
収録日:2018年11月14日
追加日:2019年1月7日
≪全文≫

●リアルエコノミーとAI、ICT技術を考える


 今、日本中で、そして世界中で、AIとかIoT、あるいはビッグデータといった話がいろいろと出ていますが、これまでITをそれほど活用してこなかった経済、いわゆるリアルエコノミーの中にICTの技術が入ってきたときに、どのような視点で見たらいいだろうかということについて、経済学者の目から見て、感じることをいくつかお話ししたいと思います。

 学生にはよく勧めるのですが、世界で最も有名なジャーナリストの一人であるトーマス・フリードマン氏の著書で、アメリカでベストセラーになった『Thank You for Being Late』という本があります。日本語でも翻訳されていて、『遅刻してくれて、ありがとう』というタイトルです。世界で最も注目されているジャーナリストが、いろいろな重要人物、それこそ普通ではなかなか会えないようなキーパーソンとインタビューを重ねてきて、技術革新が世の中にどのような影響を及ぼすのか、ということを書いています。これはぜひ、お読みになることをお勧めしたい本の一つです。


●技術革新は加速度的に進化する


 その中で、もう数年前の話ですが、グーグルのトップエンジニア、研究開発部門のトップの人だと思うのですが、その人が社内に向けて行った講演のことが出てくるのです。そこで彼はグラフを一つ描いたということです。一つは「指数関数」といって、急速に加速度的に増えていくような関数です。これは何かというと、技術革新のスピードは加速度的に増えていきますよ、ということを言っているわけです。

 例えば、有名なところでは「ムーアの法則」があります。確か、2年間に2倍ずつ演算子のスピードが増えていくということで、まさに加速度的に増えていく状態です。演算スピードだけではなく、例えば通信スピードも今度5Gになるなど、どんどん速くなってきています。それからフラッシュメモリとかハードディスクに情報を蓄えるためのコストも、指数関数的に非常に安くなっています。技術革新にはそういう面があります。ある時期に行われた技術の新しいレベルが次の技術のステッピングボードになっていきますから、次から次へ累積的に技術が蓄積されて、非常に増えていくのです。


●技術革新を取りこめば社会や企業も大きく変化する


 こういう指数的なものとは別にもう一つ、グーグルのエンジニアの彼は絵を描いています。...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
生き続ける松下幸之助の経営観(1)今も生きている幸之助
松下幸之助の考え方には今と昔を貫くものがある
江口克彦
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
プロティアン~最先端の自律的キャリア形成(1)変幻自在のキャリア論
なぜ第二の人生のためにキャリアの棚卸しが必要か~組織から自律へ
田中研之輔

人気の講義ランキングTOP10
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保