中国春秋戦国時代と始皇帝
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中国古代史の舞台を知る――東方大平原と渭水盆地そして殷周革命
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中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
鶴間和幸(学習院大学名誉教授)
映画『キングダム』の中国史監修を務める鶴間和幸氏が、中国の春秋戦国時代と始皇帝の真実をひも解くシリーズ講義。まずは中国史監修の秘話として、始皇帝が座る玉座の再現や、「版築」の土壁、「牛耕」の風景など、注意深く観ないと気づかない映画ならではのエピソードが語られる。後半では、2冊の著書『新説 始皇帝学』(カンゼン)、『始皇帝の戦争と将軍たち――秦の中華統一を支えた近臣軍団』(朝日新書)を紹介しながら、出土資料の最新成果や実際に現地を歩いた経験に基づき、歴史書『史記』の記述を読み解く醍醐味を解説する。(全9話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:7分41秒
収録日:2026年6月16日
追加日:2026年7月6日
カテゴリー:
≪全文≫

●映画の歴史監修秘話――玉座、版築、牛耕などの細部にわたって


―― 皆様こんにちは。本日は、鶴間和幸先生に、中国の春秋戦国時代と始皇帝というテーマでお話を伺いますが、その前に、鶴間先生が映画(実写版)『キングダム』の時代考証で中国史監修をお務めになっているというところですので、その辺りの話も、本講義の前にお話を伺ってみたいと思います。

 いろいろと中国史監修はこれまでもやられているかと思うのですが、映画ですと、実際に映像も出てきますし、いろいろなシーンも出てきますので、監修というのも非常に難しい部分もあるのではないかと思いますが、手掛けられてどうですか。

鶴間 私は面白く仕事させてもらっています。もちろん、スタッフから、例えば、調度品がどういうものかという細かなことも聞かれました。

 例えば、私が印象に残っているのは、当時の秦王の玉座です。玉座ですが、マンガ本では原泰久先生(も描いておられますが)、後の時代である唐の皇帝以降は椅子に座るのです。特に清朝の時の康熙帝にしても肖像画が残っていますが、椅子に座った玉座が出てくる。

 これは明の時代の書物の中にも始皇帝が描かれているのですが、始皇帝が玉座の椅子に座って、李斯が膝をつくという画です。ですから、椅子の時代になってからの玉座はそうなのですね。

 ところが、始皇帝の時代は、まだ床の敷きものに正座をする生活の時代ですから、もう少し低い玉座を作らなくてはいけない。それで、美術スタッフと一緒に玉座を作りました。これが毎回出てきます。長椅子のような、ベッドの低い玉座にして、下に敷きものを敷いて、刺繍を施しました。白地の絹に竜と虎の文様が描いてある。これは実際に楚の国の遺跡から発見されたものです。これを玉座の下に敷きました。そういうものをお手伝いするとか。

 それから、(『キングダム』の)第1作目で、(主人公の)信と(その親友の)漂という、始皇帝によく似た少年が登場します。

 戦災孤児の二人が村の役人(里典)の家に買い取られて、そこで生活するのです。村の役人の納屋で生活するわけです。そうすると、村の役人の建物が出てきます。

 秦の国は黄土高原ですから、黄土の土で土壁...

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